とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

PT-INRとは何か

ワルファリンはビタミンK依存性の凝固因子(Ⅱ因子、Ⅶ因子、Ⅸ因子、Ⅹ因子)を阻害することで抗凝固作用を示す。適応としては長期の臥床患者の静脈血栓症の治療や心房細動に寄る血栓形成の抑制、心臓人工弁置換術後の血栓の予防などである。

 

ワルファリンは凝固を抑制してくれるが、抗凝固を頑張り過ぎると逆に出血が起こりやすくなる。故にワルファリン治療を行う際はその量が適切であるかどうか定期的に監視しなければならない。通常治療開始の最初の週は毎日、その後の2〜3週間は一週間に一度、それ以降の安定期は月に一度のペースで検査を行う。

 

ワルファリン投与のモニタリングの指標として用いられるのがPT-INRである。

PTとはプロトロンビン時間の略、INRとは時間国際標準比の略である。プロトロンビン時間は外因系の凝固時間を反映しているが、その時間は試薬や測定装置などによって変わってくるために施設によって基準値に大きな差がでてしまう。そこで、検査ごとに正常対照血漿を同時に測定しておいて、その凝固時間と比較することでPTの値の施設間での違いをなくすために作られた指標がPT-INRである。*1

INRの基準値は0.9〜1.1。

 

例えばワルファリンを過剰投与してしまった時はPT-INRを参考に次のような治療が行われる。

INR=1.0〜3.9の時:経過観察

INR=5.0〜8.9の時:ビタミンKを1.0-2.5mg経口投与

INR=9.0以上の時:ビタミンKを2.5-5.0mg経口投与

もし、脳出血など重大な出血が起きているのであればビタミンK10mgをゆっくり静注、それに加えてFFPを10-20mL/kgで投与。

(UCSFに学ぶ出来る内科医への近道参照)

 

*1:INR=(検体血漿凝固時間÷正常血漿凝固時間)^ISI  (^記号は乗数)

 

ISIの値はメーカーの組織トロンボプラスチン製剤のロットごとに異なる。