つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

胸部レントゲンで読影する順番

胸部レントゲンで目を動かす順(レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室参照参考)

(後日追記予定)

 

・第一印象(左右のバランス、肺の大きさ、胸郭変形の有無)

・骨・軟部陰影

肋骨の数え方

肺の大きさを評価する 

溶骨所見

皮下気腫がないか

 

・縦隔

縦隔が正中にあるか

気管の走行を確認する

傍気管線を確認する

奇静脈の拡張はないか

縦隔気腫があるかないか

気管分岐部の角度を見る

下行大動脈、APwindowは正常か

肺門陰影は正常か

 

・心陰影

心胸郭比(心拡大の有無)

心陰影をチェックする

 

・横隔膜

 肋横角(CPangle)はどうか

横隔膜の裏に陰影はないか

 

・肺野:左右に平行に視線を移動させて比較していく

陰影は片側か両側か

中枢か末梢か

縁の形はどうか

 

【骨・軟部陰影】

肋骨の数え方:

第一肋骨から第十肋骨まで追っていく。それぞれの肋骨は胸側にある胸骨からでて半円を描いて背中側にいく。それぞれの肋骨は背中側に行くほうが高い位置になっていることに注意。

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胸骨|パーソナルトレーナーのお勉強

 

下のレントゲンは背中側の肋骨に番号を振ってある。

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Good positioning is key to PA chest x-ray exams

 

肺の大きさを評価する

肺の大きさは何番目の肋骨が横隔膜と交叉しているかで評価することが出来る。正常であれば右の横隔膜は第十肋骨が鎖骨中線で交叉している。左の横隔膜は右の横隔膜よりも1~2cmほど低い位置にある。

 

溶骨所見:下写真の矢印部位。胸部レントゲンで一緒に写る上腕骨で溶骨所見が見られることもある。溶骨性の骨転移がうつりこんでることがあるのでよくチェック。

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The Radiology Assistant : Sclerotic bone tumors and tumor-like lesions

 

骨折はないか肋骨をひとつひとつ見ていく。黒矢印のところで肋骨骨折が見られる。

 

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Bruised Rib - Symptoms, Treatment, Signs, Causes, X-ray Diagnosis

 

皮下気腫がないか:下図の黒矢印が皮下気腫の所見。白矢印は縦隔気腫。

皮下気腫は胸腔ドレナージ挿入の後などに出現する。

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X-ray of chest on day of injury. Black arrows: subcutan | Open-i

 

横隔膜が下がる原因=COPD、気胸

横隔膜が上がる原因=肺線維症、無気肺、横隔神経麻痺など

 

【縦隔】

縦隔が正中にあるか

縦隔の中には血管や気管、食道があるがただのスペースであるので押されたりすると容易に動いてしまう。以下の胸部レントゲンでは左に気胸が起こり縦隔が右にシフトしている。他にも胸水、無気肺や肺線維症などでも縦隔のシフトは生じる。

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Pneumothorax - Wikipedia, the free encyclopedia

 

気管の走行を確認する:

空気の棒のような黒い帯が気管である。まっすぐに追えるかどうか。次の写真は正常な気管の走行であるが、偏位する理由としては腫瘍、胸水、無気肺、線維化などが挙げられる。

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Surface anatomy of thorax

 

甲状腺の腫瘍により気管が右に押し出されている。

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Medscape: Medscape Access

 

 

次の写真は小児のクループの例。矢印で示された気管が細くなっている(尖塔サイン)。

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Steeple sign - Wikipedia, the free encyclopedia

 

傍気管線を確認する:

傍気管線は気管の右側の壁が右肺と接しているところが線として写るものである。

まずは正常な傍気管線から。

下のレントゲンの黄色の矢印で挟まれた線が傍気管線である。

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http://www.slideshare.net/aalmasi1970/cxr-revised-24-1191

 

次の写真の傍気管線はやや大きくなっている。

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SOUTHWEST JOURNAL of PULMONARY & CRITICAL CARE - Imaging

 

傍気管線は通常1~2mmの大きさであるが、4mm以上もしくは消失していると異常である。原因としては気管や縦隔、胸膜の腫瘍などがある。特に縦隔リンパ節があると傍気管線を形成していた胸膜と気管の壁とリンパ節が一体となってしまい傍気管線は消失する(シルエットサインと同じ理屈)。

 

関連記事:傍気管線の増大とその原因

 

奇静脈の拡張はないか

奇静脈は右の気管支分岐部の少し上でアーチを形成する(奇静脈弓)。その奇静脈弓の短軸が胸部レントゲンで線として見える。

 

奇静脈は正常ならば5〜7mmの径である。それ以上に拡張していれば心不全やうっ血により右房圧が上昇していることをを示唆する。

次の写真は9.7mmと奇静脈が拡張している。

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www.radiologyassistant.nl

 

f:id:tsunepi:20160611201615p:plain

Azygos vein | Radiology Reference Article | Radiopaedia.org

 

縦隔気腫があるかないか

縦隔気腫とは激しい咳などにより胸腔内圧が高くなり、気管支から縦隔に空気が入りこんだ状態。喘息重責発作、間質性肺炎、人工呼吸なども原因となる。

次の写真の矢印部分に黒い線が見え、縦隔気腫が認められる。

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Medscape: Medscape Access

 

 

 

気管分岐部の角度を見る

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イラスト参照*1

気管支の分岐は右が25度、左に45度と傾きに差がある。これにより気管から入ってきた異物は右の方に落ちやすく、誤嚥性肺炎も右肺に発症しやすい。気管分岐部の下に腫瘤があると分岐がガニ股のようになるので気管分岐の角度に注目することで腫瘤を発見することも出来る。

 

下行大動脈、APwindowは正常か

 胸部レントゲンでは上行大動脈は肺と接していないので線とならずに見えないが、大動脈弓〜下行大動脈にかけては左肺と接しているのでレントゲンで線として見ることが出来る。

 

また、その際にAPwindow(大動脈肺動脈窓)もチェックしたい。

Aはaortic knob

Pはpulmonary artery

でありAPはつまり大動脈弓と肺動脈の間の隙間のことであり、正常であれば下のレントゲン写真のように空間が出来る。

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Try to identify the following

 

APwindowの領域には縦隔リンパ節があるのでリンパ節が腫脹しているとAPwindowの凹みが盛り上がり、APwindow消失となる。

 

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http://etrt.sakura.ne.jp/23hmc.htm

 

肺門陰影は正常か

肺門陰影とは肺動脈や肺静脈が肺に入る場所がレントゲンで白い陰影として写っているものである。

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Approach to unequal hilum on chest X-ray Sarkar S, Jash D, Maji A, Patra A - J Assoc Chest Physicians

 

肺門陰影拡大の原因としてはリンパ節の腫脹(結核や珪肺)、肺動脈圧の上昇などがある。 次の写真(左)はサルコイドーシスの両側肺門部リンパ節腫脹の所見、右の写真は肺高血圧である。

enlarged hilum

Chest Xray - Approach to hilum | Epomedicine

 

 

【心陰影】

心陰影をチェックする

右1弓:上大静脈

右2弓:右房

左1弓:大動脈弓

左2弓:肺動脈

左3弓:左房

左4弓:左室

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関連記事:胸部レントゲンの心陰影の見方 - とある研修医の雑記帳

 

心拡大はないか

心臓/胸郭の比率が50%以上であれば心拡大。

 

肋横角(CPangle)はどうか

肋骨と横隔膜の角度を見る。普通であれば尖っている(sharp)が、鈍角(dull)になっていると胸水貯留が疑われる。胸水以外に考えられる原因としてはCOPDによる肺の過膨張で横隔膜の平低化によることもある。また胸膜炎の既往があれば癒着してCPangleがdullになることもある。

 

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CPA dullの例Medscape: Medscape Access

 

関連記事:肋骨横隔膜CPAのsharpとdullの違い - とある研修医の雑記帳

 

横隔膜の裏に陰影はないか

横隔膜の裏側は見難いがよく見えると腫瘤が隠れていることもあるので注意

 

【肺野】

左から右に視線を動かして陰影を探す。

ポイントは

陰影は片側か両側か

片側であれば腫瘍などが考えられるが、両側であれば全身性の疾患であることが示唆される。

陰影の濃さはどうか

真っ白で後ろの血管が見えなければ”浸潤影”、少し白くて後ろの血管が見えるぐらいであれば”すりガラス陰影”

関連記事:浸潤影とすりガラス様陰影の違い(+画像) - とある研修医の雑記帳

 

陰影は中枢にあるか末梢にあるか

太めの気管支の近くにあれば比較的大きな粒子が原因のもの、逆に末梢にあれば微細な粒子が原因とかんがえられる。肺がんでもタバコが原因となる扁平上皮癌や小細胞がんでは粒子が比較的大きいので腫瘍は中枢に好発する。

陰影の形はどうか

腫瘤の形によってその原因推定することが出来る。

・辺縁が外向きに凸の場合はどんどん増殖しているサインであるので腫瘍や結核病変を示唆する。

・辺縁が内向きに凸の場合は病変が縮んで周りのものを引っ張っているので線維性病変や無気肺が考えられる。

・辺縁がまっすぐで大きさが変わらない場合は肺炎などが考えられる。これは炎症によって肺胞内に滲出液が出ることによって白くなっているのであり肺胞構造の形が変わるわけではないからである。

 

 

*編集中に付きまた追記します〜〜。

*1:人体の構造と機能 第40回(呼吸器系の構造と機能):看護学生のために(by 白鳥恭介):So-netブログ