つねぴーblog@内科専門医

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甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延が起こるのは何故か

甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延となる機序

 

甲状腺機能低下症とは

甲状腺ホルモンの作用低下によって様々な全身症状をきたす疾患。原因(病変)は甲状腺そのものにある場合とその上流の視床下部にある場合とがある。アキレス腱反射弛緩相遅延とはアキレス腱反射をハンマーで叩いて反射を起こした時に、腓腹筋が収縮してから再び弛緩して元に戻るまでの時間が正常よりも長くかかることをいう。この現象は甲状腺機能低下症に極めて特異的であるので診断に有用である。

 

何故か

生理学的な話となるが、甲状腺ホルモンの不足している筋細胞では水、Na+、Ca+などの排出が遅れる。故に筋細胞は収縮は正常に出来ても弛緩に時間がかかってしまう。そのことが甲状腺機能低下症の患者ではアキレス腱反射で目立つのである。筋肉の弛緩がゆっくりとなるのは下肢の筋肉だけではなく心筋細胞でも見られる。心筋細胞が十分に広がれなくなると血液を上手く受け取ることが出来なくなり、心不全発症のリスクとなる。またこの他にも甲状腺機能低下症の血管も弛緩(拡張)がスムーズに行えないので高血圧の原因ともなる。

 

アキレス腱反射弛緩遅延の動画(youtube)


BIOSC-048 - Lab 13 - Glycerinated Muscle Lab - Achilles tendon reflex