つねぴーblog@内科専門医

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パラコート中毒に酸素投与禁忌の理由

パラコート中毒に酸素投与禁忌の機序

 

パラコートとは除草剤の成分である。草を枯らして木や根はからさない。また即効性はあるが持続性はないために除草剤として広く用いられてきた。

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パラコートは細胞内に入るとNADPHなどの還元物質から電子を奪い、パラコートラジカルとなる。パラコートラジカルが酸化されて元のパラコートに戻るときに活性酸素を発生させ、細胞内の核酸・タンパク質を傷害する。

またパラコートはNADPHがある限り何度も同じサイクルを繰り返して活性酸素を発生させるので少量でも非常に強い毒性を示す。NADPHは植物だけでなく動物の体内にもあるので全く同じ機序で動物の細胞もダメージを受ける。

 

パラコートの治療は対症療法敵となるが、酸素投与は急性期には行わない。酸素投与によって活性酸素の発生を助長してしまうおそれがあるからである。しかし低酸素血症を生じたらPaO2 55Torrを目安に酸素投与を行うのが一般的のようである。