つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

進行性核上性麻痺でハチドリサインとなる話

進行性核上性麻痺(PSP)とは

中年期以降に発症し、淡蒼球、視床下核、小脳歯状核、赤核、黒質、脳幹 被蓋の神経細胞が脱落し、異常リン酸化タウ蛋白が神経細胞内およびグリア細胞内に蓄積する疾患である。

神経学的には易転倒性、核上性注視麻痺、パーキンソニズム、認知症などを特徴とする。発症の原因は不明である。

初発症状はパーキンソン病に似るが、安静時振戦は稀で、歩行時の易転倒性、すくみ足、姿勢反射障害が目立つ。進行するにつれて、頸部の後屈と反り返った姿勢、垂直性核上性眼球運動障害、構音障害や嚥下障害、想起障害と思考の緩慢を特徴とする認知症や注意力低下が出現する。徐々に歩行不能、立位保持不能となって、 寝たきりになる。

難病情報センターより一部引用*1

 

進行性核上性麻痺(PSP)ではハチドリサイン(huming bird sign)という非常に特徴的なMRI像を示す。

 

どのぐらいハチドリなのかを海外サイトから紹介

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MRI正中矢状面で見られるハチドリサイン

中脳(白い円で囲まれた部分)は橋(白い四角形で囲まれた部分)に比べて萎縮しているのがわかる。中脳被蓋上部の形状は先端が尖っておりあたかもハチドリのようになっている。中脳被蓋の萎縮の程度は面積計算によって求められ、一般的には中脳被蓋面積が75mm2を下回ったらPSPによる萎縮が起きているとみなされる。

*2

 

実際のハチドリってどんな鳥なのか

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ハチドリの写真(日本野鳥の会もりおか コスタリカ探鳥記3

 

ハチドリとはアメリカ南部からアルゼンチン北部にかけて生息する鳥。ハチドリの名前の由来は蜂のように「ブーン」と音を立てながら飛ぶことに由来している。英語名のhumming birdのhummingも蜂の擬音語から来ている。アメリカとしては大変有名であるが日本人としてはそこまで馴染みのない鳥なのでハチドリサインと言われてもあまりピントこないかもしれない。

余談ではあるが、ナスカの地上絵に描かれている鳥もハチドリであるようだ。

 

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ペルーのナスカの地上絵*3

 

日本人的にはハチドリサインよりも”ナスカの地上絵サイン”の方がわかりやすかったかもしれない…。