つねぴーblog@内科専門医

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SIADHで低尿酸血症となる理由

SIADHで高尿酸血症となる機序

 

【SIADHとは(ちょっと復習)】

SIADHとは抗利尿ホルモンであるバソプレッシンが不適切に、過剰に分泌されてしまう症候群である。バソプレシンは腎臓集合管での水の再吸収を促進するために、体内の循環血液量は増加する。

循環血液量が増えすぎないような代償システムが働く。その1つがレニンの抑制である。レニンの分泌が少なくなるとレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が抑制されてアルドステロンによるNaの再吸収が抑えられる。故に尿中のNa排泄が増加して尿が濃くなることにより、浸透圧効果により水も一緒に出ていく。

よってバソプレシンの働きは強くなるが、アルドステロンの分泌は抑えられるので、それぞれ相殺しあい、尿量は正常となる。

 

【血中尿酸値が低下するのは何故か】

SIADHでは循環血漿量が増えるために、結果として腎糸球体濾過量(GFR)も増加することになる。尿酸は糸球体でろ過された後に、近位尿細管で再吸収されているのであるが、糸球体濾過量が増えすぎてしまうと再吸収機構が追いつかなくなり、尿にそのまま排泄されてしまう尿酸が多くなってしまう。ゆえにSIADHでは低尿酸血症となる。

一方で、脱水状態では糸球体濾過量が低下することにより、尿酸再吸収量は排泄量よりも相対的に増えてるために高尿酸血症となる。