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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

季節性うつ病が高緯度地域に多い理由

季節性うつ病とは…

通常のうつ病や双極性障害と異なり、毎年決まった季節になると発症し、また決まった季節に寛解するうつ病のことである。季節によって発症が決まっていることから”季節性うつ病”と呼ばれている。

 

この疾患が通常のうつ病と異なる点は高緯度地域に多く発症が認められていることであり、また光線療法によって寛解させることが出来るので日光照射が少ないことが季節性うつ病発症の誘因と考えられている

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高緯度地域(スウェーデンの写真)

http://blog.goo.ne.jp/kpfrsk/e/8761e2f8e6fb88b6a801e8eba481e8d8より引用

 

■ではなぜ日照時間の短い高緯度地域で季節性うつ病が生じてしまうのか

 

仮説の段階にすぎないが、現在最も有力な説は位相偏位仮説である。

季節性うつ病の患者ではメラトニン分泌開始時間がずれてしまうことによってサーカディアンリズムが後ろにずれてしまっているというものである(メラトニンというのは睡眠に関するホルモン)。朝に二時間ほど光照射をすることによってメラトニン分泌サイクルが改善し、サーカディアンリズムは健常者と同じ状態に近づくという研究が有る。機序は不明であるが、位相の変化、つまりサーカディアンリズムのずれが季節性うつ病を引き起こしている可能性は高いといえるであろう。

 

■生理学的な話…

日照時間の短縮は網膜を通じて視交叉上核で感知されている。視交叉上核は視交叉の真上に位置する器官であり、概日リズムの調節に関与しているのであるが、日照時間が少ないと各種ホルモンや神経伝達物質の連絡に何らかの障害をきたし、気分や睡眠などに悪影響を与えてしまっていると考えられる。高緯度地域にいて発症する人と発症しない人がいるのは、日照時間短縮を感知する閾値の違いがあるからでは無いだろうか。また、光照射を網膜を通じて感知しているので、当然光は顔に当てなければならない。

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イラストはhttp://hito-rhythm.com/circadian_rhythm/column06.htmlより引用

 

■余談になるが、多発性硬化症という神経疾患も高緯度地域に多く発症することが知られているが、それは紫外線が当たらないことにより皮膚でのビタミンD合成量が低下することと考えられている(つまり発症原因は季節性うつ病と異なる)。実際にビタミンD投与量法により症状を緩和させることが出来る。