つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

穿頭術と開頭術の違い

穿頭術と開頭術の違い(似てるけどちょっと違う言葉の整理)

 

穿頭術とは

頭の骨に小さな穴を開けて硬膜、血腫外膜を切開して中の流動性の血腫内容物を除去する治療法。慢性硬膜下血腫や脳室内出血など頭蓋内に溜まった血液を体外に出す場合に適応となる。局所麻酔で行える。

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慢性硬膜下血腫のイラスト。慢性硬膜下血腫 | もみのき病院 脳神経外科より引用

血腫は頭蓋骨、硬膜よりも更に内側の空間に広がっている。

 

<慢性硬膜下血腫について>

この疾患の原因は頭部外傷による微量な出血であるが、徐々に出血が広がり外傷後2〜3週間後に発症する。発症から2,3週間も経過しているので自然に吸収されることは考えづらく、手術の適応になる。出血は少しずつであるので大きく開頭はせずに穿頭術を行う。穿頭術とはドリルで小さな穴を開けてドレナージにより中の血腫を除去する方法。治療効果は高く一般的に予後良好であるが、血腫が再発することもあるのでドレーンチューブを留置することもある。

 

開頭術とは

開頭術は穿頭術のように小さな穴ではなく、もっと大きい範囲で頭蓋骨を切除して行う治療法。文字通り、頭を開けるイメージ。急性硬膜外血腫や急性硬膜下血腫に適応がある。

 

 ☆慢性硬膜下血腫、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫の時の使い分け:

 

慢性硬膜下血腫の場合は外傷から数週間してからの発症であり、進行が緩徐である。故に血腫の量も程度が知れている上に静脈性の出血であるので、穿頭ドレナージで吸い取るだけで治療となる。

一方で急性硬膜外血腫や急性硬膜下血腫の場合は現在進行形で出血が続いているのでより穿頭ドレナージだけでは完全に除去できない。それに加えて脳は外傷の後に浮腫を起こしてしまうので、開頭術を行い減圧しておかななければ脳ヘルニアを起こしてしまう可能性がある。故に開頭術の適応となる。

 

 

☆脳内出血も開頭術の適応

他にも脳内出血でも開頭による血腫除去術を行うことがある。脳内出血による血腫ではその塊が脳の他の部分を圧迫して脳ヘルニアをきたしてしまう可能性があるので、それを防ぐ意味で行われる。しかし、脳内の血腫であるので周りの神経を傷つけずに手術できる場所は限られており、一般的に被殻出血、小脳出血、皮質下出血に適応がある。尚、開頭術には全身麻酔が必要。

 

だいぶメモ的ですがまた後で編集しますm(--)m