つねぴーblog@内科専門医

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プロカルシトニンはいつ測るべきか

◯プロカルシトニンとは

 プロカルシトニンとは血中カルシウムを低下させる働きのあるカルシトニンの前駆物質である。プロカルシトニンは通常であれば甲状腺で産生されるが、細菌、真菌などの感染症になると炎症性サイトカイン(IL1β、TNFα)の刺激により、甲状腺以外の全身の細胞でも産生されて血中にも出るため、感染症、特に細菌感染のマーカーとして用いられる(ウィルス感染の時に産生されるIFNγはプロカルシトニン産生を逆に抑制することが知られている)。

 

◯プロカルシトニン測定の意義その1:細菌感染症の判定

 前述のとおり、細菌感染のマーカーとして利用されるほか、感染後6時間程度でピークに達し、感染改善後は速やかに消失することからCRPよりも鋭敏な指標としての利用が期待されている。感染などの刺激後、CRPは6時間立ってから上昇を始め、およそ24時間でピークに達するが、プロカルシトニンは感染後3時間で上昇し始め、約12時間後にピークに達する。

細菌感染に対するプロカルシトニン上昇の感度特異度は感度77%、特異度79% との報告があるが、やはり当然100%ではないのでCRP同様他の検査所見と総合的に考える必要がある。少なくともプロカルシトニンが上昇している=細菌感染=抗菌薬投与が必要と短絡的に考えることは出来ない。

 

◯プロカルシトニンの測定の意義その2:敗血症の鑑別

プロカルシトニンは軽度の細菌感染やウィルス感染ではほとんど上昇せず、敗血症であれば上昇(特に重症敗血症や敗血症性ショックではとりわけ上昇)するため、敗血症の重症度判定としても用いられる。

ICU実践ハンドブックによるとプロカルシトニンの値によって敗血症の重症度を次のように分けているようである。

プロカルシトニン値(ng/ml):

0.25-0.5→健常者、軽度の局所感染、非細菌性SIRS

0.5-2.0→敗血症

2.0-10.0→重症敗血症

10.0→敗血症性ショック

敗血症や重症敗血症では偽陽性も多く、実際には総合的な判断が求められることが多い。ただ、WBCやCRPの上昇がなくても原因不明のショックバイタル患者ではプロカルシトニンの測定は有用である。プロカルシトニンが上昇してれば敗血症性ショックの可能性が高まるし、プロカルシトニンも陰性であればショックの原因が他にあるといえる。 

 

【まとめ】

プロカルシトニンは1,細菌感染のマーカー 2、敗血症の重症度判定に用いられる。実際には2番めの敗血症の重症度判定の意義の方が多いと考えられる。