産科的真縫合線と解剖学的真縫合線の違い
産科的真縫合線と解剖学的真縫合線の違い
胎児が母体から生まれる際は産道を通らなければならない。その通り道を骨産道と呼ぶ。骨産道は骨盤から形成されているが、後ろには仙骨・尾骨があり、前方と側方には寛骨(腸骨、坐骨、恥骨)が位置している。
さて、骨盤の入り口の前後を結んだ線を真結合線と呼ぶ。真結合線には2つのタイプがある。
・解剖学的真結合線:岬角の中央から恥骨結合上縁の中央までの最短距離
平均値は11cm。
・産科学的真結合線:岬角の中央から恥骨結合後面までの最短距離
平均値は10.7cm(正常値は10.5-12.5cm)
イラストはプロメテウス解剖学より引用
産科学的真結合線の方が短く、これは児頭骨盤不均衡の診断に重要になる。児頭骨盤不均衡とは文字通り、胎児の頭の大きさと骨盤の大きさがずれており、分娩が上手くいかない状態のことである。原因としては巨大児や水痘症などによって児頭が大きい、もしくは母体の骨盤が元々狭いなどがある