可溶性IL2受容体(sIL-2R)高値の原因と意義
■IL2受容体とは何か
IL2(インターロイキン2)とは活性化ヘルパーT細胞から分泌されるサイトカインで、リンパ球や腫瘍細胞のの表面にあるIL2受容体(IL2R)に結合し、これら免疫細胞を活性化させる役割を有する。
IL2受容体はα鎖、β鎖、γ鎖の3つのユニットから形成された複合体である。α鎖は膜表面に結合しているタンパクであるが、そのうちの一部は切断されて血液中に溶解する。それ故に、可溶性IL2受容体と呼ばれるのである。
■可溶性IL2受容体高値の原因
IL2Rの基準値は100~500U/ml程度。
IL2受容体は低分子タンパク質であるために速やかに腎臓糸球体からろ過されるが、病的に発現量が増えた場合は腎臓での濾過量を上回り血中IL2R高値となるのである。
原因としては
・悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫)
・自己免疫性疾患
・アレルギー性疾患
・感染症
などがある。
健常人でもsIL2Rはリンパ球に発現しているが、腫瘍細胞にもsIL2Rが発現し、腫瘍サイズに応じて高値になるので臨床的に重要である。(が、その他自己免疫疾患やアレルギー疾患などでも上昇するのでsIL2Rだけでなにかが診断できるわけではない。)血液系の腫瘍では腫瘍細胞の膜上にsIL2Rが発現するために腫瘍細胞のサイズとある種相関する。悪性リンパ腫においては予後予測や治療効果の判定として用いられることもある。
保険適応としては、非ホジキンリンパ腫、ATLの経過観察として月一回測定できる。
例えばATLにおいてはsIL-2Rは
・慢性型で平均 1,621 U/ml
・リンパ腫型平均 27,210 U/ml
・急性型平均 70,697 U/ml
と病勢に伴って劇的に増加するとの報告もある。