弛緩性水疱と緊満性水疱の違い
弛緩性水疱と緊満性水疱の違い
水疱とは表皮内や表皮下に液体が貯留することで表皮が膨れ上がり隆起した状態になるもののことをいう。水疱にはその性質から浅い所にある破けやすい弛緩性水疱と表皮下など深いところにあり膜が厚くて破けにくい緊満性水疱と分類することが出来る。
弛緩性水疱がみられるのは主に天疱瘡であり、緊満性水疱がみられるのは類天疱瘡である。
【天疱瘡と類天疱瘡の違い】
天疱瘡について
中年〜高齢者に好発
尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡に分類される。
自己免疫疾患であり尋常性天疱瘡はデスモグレイン3、デスモグレイン1に対する自己抗体がつくられることにより基底層のすぐ上の空間に水疱ができる。
一方落葉状天疱瘡はデスモグレイン1に対する角層のすぐ下の部位に水疱が出来る。
尋常性天疱瘡も落葉状天疱瘡も浅いところに有るので破けやすい弛緩性水疱となる。ニコルスキー反応やTzanck試験は陽性となる。
・ニコルスキー現象とは一見正常な皮膚をひっかくなどして刺激すると容易に皮膚が剥離してびらんや水疱を呈する現象のこと。
・Tzanck試験とは水疱をやぶって中の細胞性分をギムザ染色することをいう。
尋常性水疱瘡の皮膚所見。弛緩性水疱で水疱が破けている。
出典:http://pathology.or.jp/corepictures2010/20/c02/05.html
類天疱瘡について
高齢者に多く発症。
BP180タンパクに対する自己抗体が作られ、表皮と真皮の間に水疱が形成される。深いところに水疱が形成されるので破れにくい緊満性水疱となる。また、ニコルフスキー反応やTzanck試験は天疱瘡と違い陰性である。
類天疱瘡の皮膚所見。水疱は緊満性水疱である。
出典:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa15/q03.html
治療は天疱瘡も類天疱瘡も自己免疫疾患であるのでステロイドを用いる。副作用の問題でステロイドが使えない場合は血漿交換を行う。