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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で腹水が貯留する機序

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で腹水が貯留する機序

 

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは

不妊症の患者に対する治療として排卵誘発法がある。これはゴナドトロピン療法とも呼ばれ、hMG/FSH-hCGを注射することにより卵胞発育を図る方法である。hMGにはFSH様作用があるので卵胞を発育させる働きが、hCGにはLH作用があるのでLHサージのように排卵を誘発することが期待できる。実際、この方法によって排卵率が上昇し、実際に妊娠する割合も増えるので治療としての効果は認められている。


しかし、副作用としてOHSSを発症してしまうのが問題なのである。hCGは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の分泌を亢進させる働きもあり、VEGFは毛細血管の透過性を亢進させてしまうので、血管から液体が間質へと移動し腹水や胸水を呈する。

またhMG製剤のFSH様作用によりで卵巣が腫大し、前述の腹水貯留によって卵巣の可動性が増加し、捻転を起こすリスクが増大する。

治療としては、血管透過性亢進による血液濃縮を防ぐために輸液が行われる。また腹水や胸水がひどい場合にはアルブミン製剤を投与して水を血管内に移動させるなどの措置がとられる。