とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

甲状腺クリーゼの治療で無機ヨードを用いる理由

甲状腺クリーゼ治療:無機ヨードの作用機序

 

甲状腺クリーゼとはバセドウ病などの甲状腺の基礎疾患を有する患者が感染症や外傷などが加わったときに発生する病態。クリーゼの症状としては中枢神経症上、発熱、頻脈、発汗、消化器症状を呈し、死亡率は20%にも達する。治療としては即効性のある無機ヨードやβ遮断薬を用いる。状態が落ち着いてきたら抗甲状腺薬を用いる。

 

無機ヨードを与えるとむしろ甲状腺クリーゼが悪化してしまいそうであるが、実際はそうではない。大量の無機ヨード投与によって血中のヨード濃度が急激に上昇するとチロシンのヨード化やサイログロブリンから甲状腺ホルモンT3、T4が切り離されるのを抑制している。「勉強しようと思っても大量の宿題が出されているとむしろやる気がなくなってしまう」とある先生はたとえておりました。。

この大量ヨードにより甲状腺ホルモンの合成を一時的に抑制することをウォルフチャイコフ効果と呼ぶ。この効果は永続的なわけではなく、数週間でもとに戻る。