つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

急性膵炎で低酸素血症になる機序

急性膵炎でPaO2低下する理由

 

急性膵炎では低酸素血症、つまり動脈血酸素分圧(PaO2)が低値になることが知られている。

急性膵炎は膵臓の消化酵素が膵臓や隣接する臓器を自己消化してしまう疾患であるが、この際に誘導されたサイトカインが毛細血管透過性を著しく亢進させ、膵臓周囲に大量の滲出液が貯留する。また、サイトカインによって好中球や補体が活性化し、肺胞の毛細血管を破壊してARDS(肺水腫・急性呼吸促進症候群)を引き起こす。

 

それに加え、膵臓から流出するホスホリパーゼA2は肺胞のサーファクタントを分解する作用を有しているのでこれもまたARDSを引き起こす一因となっている。

以上のような機序により肺水腫となり、それにより拡散障害や拘束性換気障害が起こってしまい、PaO2が低下する。PaO2<60Torrは急性膵炎の予後不良因子の1つでもある。