圧痕性浮腫と非圧痕性浮腫の違い
圧痕性浮腫と非圧痕性浮腫の違い
圧痕性浮腫とは間質に水のたまる状態で、心不全、腎不全、肝硬変などで見られる。機序には2つの種類がある。
1、血管内の浸透圧が低下する場合
ネフローゼ症候群で血管から蛋白がどんどん漏れていく場合、肝硬変などで蛋白の合成能力が低下している場合などは血管内の浸透圧が低下することによって血管から間質に水が移動し、浮腫として現れる。
2、血管内の静水圧が上昇する場合
心不全や腎不全では循環血液量が増加し、その結果血管から間質への水の移動しようとする圧力が物理的に強まり、浮腫となる。
圧痕性浮腫は浮腫の戻るスピードによってfast edemaとslow edemaに分類される。fastは10秒押してから圧痕の肉眼的な戻りが40秒以内のものを言う。疾患としては低アルブミン血症(実際には数秒以内のことが多いらしい)。どのぐらいで浮腫が回復するかは血清アルブミン値と相関があり、血清アルブミン濃度が低ければ低いほど、浮腫の回復スピードも速くなる。アルブミン濃度が低ければその分、間質に水も移動してくるので押したときに出来る圧痕もすぐに復活してしまうというロジック。
10秒押してから浮腫の回復に40秒以上かかるものはslow edemaと呼ばれ、心不全や腎不全で見られる。
一方、非圧痕性浮腫とは押しても圧痕にならずにすぐに元に戻る浮腫である。甲状腺機能低下症では代謝機能が低下し、ムコ多糖という物質を代謝できなくなるために体中に蓄積してしまう。ムコ多糖はゴムのような弾力性であり、押してる間は凹むが手を離すと元に戻ってしまうのである。また、虫さされのような局所的な炎症では血管透過性が亢進し、炎症性蛋白が沈着することにより非圧痕性浮腫をきたすことが知られている。