つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

バセドウ病で筋力低下する理由

バセドウ病で筋力低下になる機序

 

バセドウ病とはTSH受容体に対する自己抗体が産生されることにより甲状腺が刺激され、甲状腺機能亢進症を引き起こす疾患である。症状としては眼球突出や頻脈、甲状腺腫大が代表的であるが周期性四肢麻痺の合併も知られている(特に東洋人の男性に多い)。

バセドウ病の患者では甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのでそれが交感神経を刺激し、カテコールアミンを量産してしまう。カテコールアミンは細胞膜のカリウムポンプを刺激するのでKは細胞内に入り、血症カリウム濃度は低下する。交感神経を刺激すると誰もが低K血症の状態になってしまうのかというとそうではない。カリウムポンプの感受性にはバセドウ病患者でも個人差があり、バセドウ病患者でも周期性四肢麻痺をおこしやすい人とおこしにくい人がいる(病態の詳細は未解明の部分も多い)。

 

また特に、飲酒や過食が原因となり血清カリウムが低値となり、脱力が正常に活動できなくなり、四肢の筋肉が麻痺をおこしたような状態になるのである。過食が原因となりやすいのは次のように説明される。

炭水化物をとるとグルコースに分解され腸から吸収される。グルコースはインスリンの作用で細胞内にはいるとき一緒にカリウムイオンも細胞内に引き込む。よって過食の後はカリウムが低くなりやすい。

もちろん過食や飲酒をするだけでは健常人では四肢麻痺は起こらない。