シリング試験陽性とは
シリング試験のメカニズム
シリング(Schilling)試験とはビタミンB12が体内に吸収されるかどうかを調べる試験である。放射性同位体のコバルトで標識したビタミンB12を経口投与する。二時間後に、普通のビタミンB12を大量に筋肉注射する。
二時間経つ頃には標識されたビタミンB12は腸管から体内に吸収され血液中に存在している。そこに大量のビタミンB12が注射経由で血液中にくると血液中はビタミンB12が多くなる。すると先に投与していたコバルトで標識されたビタミンB12が居場所がなくなり尿中にでてくる。
もし、ビタミンB12の吸収障害があればビタミンB12は尿中に出てこない。回腸で吸収されなければ血液中に入れないので便としてビタミンB12は排泄される。
さらにシリング試験の第二段階として…
放射性同位体で標識したビタミンB12を内因子(内因子とは胃の壁細胞から分泌されるものでビタミンB12の吸収に必須の物質)と一緒に経口投与する。これで尿中にビタミンB12が分泌されるようになれば内因子が不足していることによりビタミンB12の吸収障害が引き起こされていたということがわかる。逆にビタミンB12がこれでも尿中に分泌されなければ内因子の有無は関係なく回腸に病変があることが原因で吸収障害が起きていることがわかる。
因みにシリング試験は放射性元素を用いるため現在ではほとんど行われていない。