つねぴーblog@内科専門医

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アルコール性肝障害の発生機序

アルコール性肝障害の発生機序

 

アルコールの飲み過ぎるとなぜ肝臓はダメージをうけるのか。

アルコール性肝障害には、初期病変であるアルコール性脂肪肝を始め、進行した病型であるアルコール性肝炎、アルコール性繊維称、そして終末像であるアルコ−ル性肝硬変などがある。

 

■アルコール性脂肪肝とは
アルコールを飲み続けると肝臓に脂肪が蓄積される。それは以下のように説明される。

エタノールは肝臓に入ると酸化されアセトアルデヒドにになる。この際、逆にNADが還元されてNADHとなる。この時にNADが使われすぎてしまうと、脂肪酸を酸化してアセチルCoAにする時に必要な分のNADもなくなってしまい脂肪が蓄積してしまうのである。これがアルコール多飲によるアルコール性脂肪肝の病態である。

 

また、アセトアルデヒドはそれ自体が毒性を持っており、本来なら更に酸化されて無害な酢酸になる。しかしながら量が多くなりすぎると肝細胞を傷害し、肝細胞の変性が起こる。(=balooning、マロリー体の形成)
baloomingとは肝細胞が水を蓄えた風船のように大きくなってしまうことをいうが、これは「アセトアルデヒドによって肝細胞内の微小管が破壊されて、タンパク質などを細胞外に排出することができなくなり、細胞内浸透圧が高くなることによって細胞が水を引き寄せて細胞の体積が増加する」と説明される。


一方、マロリー小体とは肝細胞の核の周辺部に出現するケラチンを主成分とした物質である。これは肝細胞がんや原発性胆汁性肝硬変などでもみられるのでアルコール性肝障害に特異的なわけではない。

 

また、アセトアルデヒドによるダメージが持続すると中心静脈周囲繊維化、肝細胞周囲繊維化などがみられる。病型としてはアルコール性肝線維症であり組織学的な繊維化が特徴であるものの血液検査結果などはおおむね正常。この状態で飲酒を続けると肝硬変へと移行する。ただ飲酒による肝硬変はC型肝炎などによる肝硬変に比べると予後良好(禁酒をすれば)。また発癌リスクも低い。