つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

イマチニブの作用機序

イマチニブの作用機序

 

慢性骨髄性白血病(CML)治療の第一選択薬としてイマチニブが用いられている。(c-kitチロシンキナーゼ陽性の胃腸管の間質性腫瘍への適応もある)。BCR/ABLチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬である。

 

■慢性骨髄性白血病とは
第9染色体と第22染色体が相互転座してABL遺伝子とBCR遺伝子が融合し、BCR/ABL遺伝子をもつ染色体ができてしまう(=フィラデルフィア染色体)。フィラデルフィア染色体ではチロシンキナーゼの活性が亢進してしまい、シグナル伝達の異常により細胞増殖が亢進する。

 

正常な細胞ではBCR/ABLを発現していないのでイマチニブによる影響を受けないが、腫瘍細胞ではBCR/ABLチロシンキナーゼを発現しているのでそのATP結合部位に競合的に結合し、基質のリン酸化を阻害することができる。(つまりイマニチブの作用は酵素の”キナーゼポケット”を占有し、基質分子であるチロシンのリン酸化を阻害する)。その結果、フィラデルフィア染色体の細胞増殖は抑制され、アポトーシスに至る。

 

イマニチブは経口投与でよく吸収され、血漿では多くがタンパクと結合する。肝臓で代謝され、代謝物は主に胆汁を介して糞便中に排泄される。

 

イマニチブ単独の治療では97%の患者で寛解、フィラデルフィア陽性細胞は82%の症例で消失するといわれ、まさに特効薬である。しかしながら、1日当たり4000円以上の薬代がかかるため、患者に対するコンプライアンスが非常に重要である。