中枢性チアノーゼと末梢性チアノーゼの違い
中枢性(中心性)チアノーゼと末梢性チアノーゼの違い
■チアノーゼとは
チアノーゼとは唇、頬、つめ、粘膜などが黒紫を呈する状態で、毛細血管の還元型ヘモグロビンが5g/dl以上になった時に出現する。
ヘモグロビンには酸素と結合している酸化型ヘモグロビンと、酸素と結合していない還元型ヘモグロビンがある。還元型ヘモグロビンの濃度が5g/dl以上となった時に出現するのでチアノーゼはヘモグロビンの絶対量の減る貧血ではむしろおこりにくく、逆に赤血球数の増加する多血症で起こりやすい。つまりチアノーゼの出現は還元型ヘモグロビンの相対値ではなく、絶対値に規定される。
■中枢性チアノーゼと末梢性チアノーゼの違い
チアノーゼには中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼがある。中心性チアノーゼは心臓から出る血液が既に青くなっているのに対し、末梢性チアノーゼは心臓から出るときは赤いが、四肢の末梢に届くときには還元されて青くなっているものをいう。
中枢性チアノーゼについて:
血液が心臓を出るときには既に還元型ヘモグロビンが蓄積し、血液が青色になっている状態。原因は以下のとおり
1、肺水腫、肺炎
呼吸不全でヘモグロビンが肺で十分な酸素と結合できない
2,心臓内の右左シャント
右→左シャントがあり、血液が酸素化されない
3、メトヘモグロビン血症でヘモグロビンが酸素と結合できない
(メトヘモグロビンとはヘモグロビンの鉄イオンがFe2+ではなく、Fe3+となったもの。酸素と結合しにくい。一般の人のヘモグロビンの1%はメトヘモグロビンと言われている。遺伝的要因あるいは化学物質の暴露が原因で高値を示すことがある)
以上の理由により、動脈血に還元型ヘモグロビンが増える 。それ故、全身に還元型ヘモグロビンが循環し、全身にチアノーゼがおこる。
末梢性チアノーゼについて:
末梢性チアノーゼの原因としては心不全やショックなど心拍出量が低下する病態が背景にある(新鮮な血液を末梢までうまく運べない状態)。心臓を出るときは赤い血液であるが、末梢での酸素需要が亢進しているため、手足に分布している毛細血管では還元型ヘモグロビンが蓄積してしまう。中心性チアノーゼと違い、青くなっている末梢の指などを保温して暖めるとその場所の血行が良くなるので局所的にチアノーゼは改善する。
おまけ)偽チアノーゼとは
皮膚に青色の色素が沈着することで恒久的に皮膚の色が変化することを言う。原因としては金属への暴露(銀皮症、金皮症)、アミオダロンやミノサイクリンなどの薬剤性のものが知られている。