貧血:MCVとMCHCの見方
■そもそも貧血の定義とは
貧血とは血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態と定義され、成人男子は13g/dl未満、成人女子や小児は12g/dl未満、妊婦や幼児は11g/dl未満と定められている。厳密には”赤血球総量の減少”とも定義されるが、その測定は簡単でないのでヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数を用いて診断される。
*ヘマトクリットとは血液中にしめる赤血球容積の割合のことである。
つまり、ヘモグロビンの値が上記の基準値以下であったら貧血と診断される。
まず、MCV(平均赤血球容積)の値に注目する。
MCV<80を小球性貧血
80<MCV<100を正球性貧血
120<MCVを大球性貧血
と3種類に分類できる。赤血球はヘモグロビンを運搬するので、それがどのぐらい大きいのかというのは重要な情報なのである。
続いて、MCHCの値をみる。
MCHCとはmean corpuscular hemoglobin concentration(平均赤血球ヘモグロビン濃度)の略である。
ヘモグロビンの濃度は正常では飽和状態にあるので、基本的にそれ以上濃くなることはない。つまり、MCHCは正常である正色素性か低下している低色素性のどちらかである。
正色素性はMCHC<30
正色素性は31<MCHC<35
である。
MCVが3通り、MCHCが2通りと考えると合計3×2で6パターンありそうであるが実際には3種類しかない。
すなわち
小球性低色素性貧血
正球性低色素性貧血
大球性正球性貧血
である。それぞれの原因疾患としては以下のものが挙げられる。