つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

ファンコニー症候群の病態生理

■ファンコニー(fanconi)症候群のメカニズム

 

近位尿細管に障害が起こることで本来再吸収されるべき物質が再吸収されなくなることにより生じる病気。再吸収を担う近位尿細管はエネルギー消費の多い部位であるが、上皮細胞のミトコンドリア障害によって十分なATPを獲得できなかったり、血管側のNa+k+ATPaseが上手く働かないために再吸収不全になってしまうと考えられている。

 

■ファンコニー症候群の症状

近位尿細管で再吸収される物質としてはブドウ糖、アミノ酸、重炭酸イオン、リン酸イオンなどがあるが、それぞれどのような症状として現れるのだろうか。

 

ブドウ糖の再吸収障害→尿に糖が出てくる(=腎性尿糖)。糖尿病と間違われやすい。感染症のリスクになる。

アミノ酸の再吸収障害→基本的には無症状だがシスチンの再吸収障害により尿路結石を生じる。

重炭酸イオンの再吸収障害→近位尿細管性アシドーシス

リンの再吸収障害→低リン血症

類骨が石灰化して正常なかたい骨になるためにCaやPそしてVitDが必要なので低リン血症によって骨軟化症やくる病が引き起こされる。

また、ナトリウム利尿によって多尿になり、それに続いて脱水や多飲となる。

 

■イタイイタイ病

四大公害病として有名なイタイイタイ病はファンコニー症候群の一種である。

ファンコニー症候群には先天性のものと後天性のものがあるが、イタイイタイ病は後天性ファンコニー症候群であり、カドミウムを摂り過ぎることにより近位尿細管が障害されて様々な物質の再吸収が阻害される。後天性ファンコニー症候群としては他にもアミロイドーシス、尿細管間質性腎炎などがある。

先天性のファンコニー症候群としてはミトコンドリア病、ガラクトース血症、Dent病、wilson病、シスチン症、Lowe症候群などが知られている。