心タンポナーデの病態生理
■心タンポナーデとは
正常では心膜腔内に生理的に15〜50mlの心膜液が存在するが、それを超えて貯留した病態を心膜液貯留という。心膜液貯留により心臓への血液充満障害が起こり、静脈圧の上昇、心拍出量の低下、低血圧をきたした状態を心タンポナーデという。(ちなみにタンポナーデ(tamponade)はフランス語で圧縮を意味する。)心タンポナーデでは心膜液が貯留することにより心膜腔内圧が上昇して心室の拡張障害を呈する。よって著しい静脈還流障害となりショック状態となるのである。
■心タンポナーデの発生要因
1:貯留速度=心膜液が高スピードで貯留し始めると心膜腔圧が急上昇し、発生しやすい。
2:心膜伸展性=心膜液が心膜伸展性を超えて貯留すると発生しやすい。
3:心膜腔への貯留量=貯留量が増えれば増えるほどやはり貯留しやすい。
貯留スピードは心タンポナーデを引き起こす重要なファクターである。もしも貯留スピードがゆっくりならば、その間に心臓の壁側心膜が代償性に進展し、ある程度の貯留では心タンポナーデを引き起こさない。
■心タンポナーデの症状
血圧低下
静脈圧上昇
心音微弱
奇脈(奇脈とは、その病態生理 参照
超音波でエコーフリースペース
X線できんちゃく型の心陰影
■心タンポナーデの治療
心膜穿刺による排液。