植皮と皮弁の違い:長所と短所
植皮とは外傷や手術で体表に生じた皮膚欠損に皮膚あるいは皮膚を含む組織を移植することをいう。植皮術には、大別するといったん薄い皮膚を生体から剥離して他の部位に移植する方法である狭義の「植皮」と、皮膚を栄養する動静脈を含ませた茎を付着させて近位もしくは遠隔部に移植する「皮弁」とがある。
前者のことを遊離植皮、後者のことを有茎植皮とも言う。
植皮のメリット・デメリット
・移植床からの新生血管による血行再開により生着
・生着した皮膚は健常皮膚に比べると弾力性・伸展性は乏しい
・薄い植皮片では色素沈着しやすい
・血行不良な移植床では生着しにくい
・植皮片は薄いので、生着すれば表情筋運動は再現されやすい
・植皮後一週間は厳重な圧迫固定を必要とする
・運動部位では植皮が生着しても再拘縮を生じることがある。
皮弁のメリット・デメリット
・皮弁茎部あるいは付着する血管束からの結構により生着する
・皮膚だけでなく、皮下組織、筋肉、腱、骨、神経なども複合組織として生着可能である
・移植された皮弁の皮膚は植皮と違い弾力性、伸展性にとむ
・色素沈着を生じにくい
・植皮よりも厚いので表情筋には不向き
・移植後の厳重な圧迫固定は不要である
・運動部位でも再拘縮が生じにくい