つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

創傷被覆材とその役割

水吸収性高分子材、撥水・透湿性膜材、非固着性接着素材などを組み合わせた創傷被覆材の出現により、発生頻度の多い少範囲の第二度熱傷などでは創を保護しつつ上皮化に適した湿潤環境が容易に得られるようになった。その反面、創傷被覆材には細菌繁殖抑制効果が乏しいことから、安易な創管理によって湿潤環境家で細菌が繁殖して障害を引き起こす危険がある。また、創傷被覆材の水休収納力や非固着性能には製品ごとに特色があるため、使い分けが必要となる。

 

■被覆材の目的

 

熱傷用の被覆材の目的は

1:疼痛の軽減

2:外力を受け止める

3:細菌・化学物質の侵入を防ぎつつ体液の滲出や体温低下を抑える

4:創の治癒を助ける

ことが期待される。

 近年、半透性の膜素材、吸収性ポリマー、固着しにくい接着素材などを組み合わせた機能的被覆材が開発された結果、効果的な熱傷治療が可能になっている。上記の4つの詳細については後述。

 

創傷被覆材の治癒促進効果は湿潤療法によるものであるが、この環境は細菌の繁殖条件でもあるため、感染対策が同時に必要となる。また、現在の創傷被覆材の効果は比較的少範囲の第二度熱傷創で大きく、多量の浸出液が出る広範囲/進達性熱傷ではより単機能の被覆材(外科用パッド材)と軟膏の組み合わせが汎用されている。

 

・疼痛の軽減

第二度熱傷では、表皮下の自由神経終末周囲に炎症が起こるため、初期より強い痛みがある。この鎮痛には創部を適度に冷却するのが最も効果的である。また、水疱膜が脱落すると、自由神経終末が露出し、被覆材の接触で強い痛みを生じる。露出した自由神経終末は進出した体液で覆われた状態が痛みを少なくするので、水疱膜を温存するか、ハイドロゲル/コロイドなどの浸出液の吸収力が少ないタイプの被覆材が良い。これにより滲出液に含まれるPDG,TGF-β、ECFなどのサイトカインが創部に保持され、創傷治癒にも有利に働く。創面状にフィブリン網が形成された後は、この上から創傷被覆材を適用して創をシールする。これにより神経終末への刺激を避け、細菌の侵入を防ぎつつ湿潤環境下で上皮化が図れる。

 

・皮膚機能の代行

少範囲の熱傷創ならば汚染が起こる前に献上皮膚を含まえて粘着性のあるポリウレタン膜やシリコン膜をもつ創傷被覆材を貼る。これにより表皮機能が代用され、清潔な湿潤環境を保って治癒に導くことができる。またフィルム上のウレタン材は撥水性と水蒸気透過性を有するので、周囲の健常皮膚の蒸れや浸出液による炎症予防にも効果がある。広範囲熱傷で閉鎖性ドレッシングが困難な場合には、様々な被覆材を用いた半閉鎖型のドレッシングが行われる。

 

・細菌感染を抑える

感染源となる余剰浸出液と壊死組織を排泄・分離し、創をシールして細菌の侵入を防ぐ。感染創では、浸出液は治癒を妨げるので洗浄除去し、浸出液を吸収/透過しやすい被覆材を用いる。浸出液が多い場合は、頻回の洗浄と包帯交換を前提に、非固着性外科用パッド材と軟膏で覆うのが使いやすい。

 

・湿潤環境の維持

湿潤環境は壊死の進行を防ぎ、白血球などによる壊死組織分離を早めて再生上皮が固着可能な肉芽の形成を促す。また、湿潤環境は付属器や創周囲からの上皮の増殖を促す効果もある。

 

・再生上皮の伸長と脱落の防止

被覆材が創面と固着すると上皮の伸長を阻害してしまう。また再生上皮に固着するとガーゼの交換のたびに上皮剥奪が起こる。浸出液が少ない時は、水分保持性の高い被覆材を用いて固着を避ける。また、再生した上皮は外力で容易に剥奪するが、適度な乾燥環境で再生上皮の成熟を促すことも必要となる(→低粘着性被覆材や軟膏とチュール材などで治癒局面を保護)

 

■創傷被覆材の素材による分類

・単ガーゼ

・外科用パッド

・ポリウレタンフィルム

・ハイドロコロイド

・ハイドロゲル

・ポリウレタンフォーム

などなど。