中心静脈路確保の意味と適応
中心静脈路確保(中心静脈栄養法)とは
中心静脈とは体循環系の血液が右心房に流入する直前の上大静脈および下大静脈の幹にあたる静脈のことを言う。ここにカテーテルを通し、薬剤・栄養・輸液を行うことを中心静脈路確保という。カテーテルの経路としては、内頸静脈・鎖骨下静脈・大腿静脈などが選択される。単に栄養や輸液をするだけで緊急性が少ない場合は末梢静脈を確保してそこから送り込めばよいが、緊急性の高い場合は比較的合併症の少ない内頸静脈ルートを選択するのが一般的。
どのような時に中心静脈路確保が必要になるのか
中心静脈路確保は太い血管にカテーテルを挿入するために侵襲性が高い。故に、必要が無いのならば末梢の血管に管を入れて済ませたいところ(末梢血管路確保)。しかし、ショックなどにより末梢血管が虚脱して中々ルートを取りにくい時は中心静脈路確保が必要になることがある。その他にも高カロリー輸液を入れる場合も中心静脈からにするべきである。なぜなら高浸透圧の溶液を末梢血管に入れると浸透圧の関係で静脈炎を引き起こしてしまうからである。
【中心静脈確保】
メリット
・刺激性の物質を投与できる
・高カロリー輸液を行える
・薬剤の投与だけでなく、中心静脈圧を測定することが出来る
デメリット
・固定しづらい
・合併症のリスク(気胸、動脈穿刺、カテーテル感染、血栓形成など)
・患者の顔に近いので違和感を感じやすい
【末梢静脈確保】
メリット
・技術的に容易。
・出血時に圧迫操作が容易。
・固定性がよい。
・気胸・血胸の合併症がない。
デメリット
・高カロリー輸液や刺激性の高い物質は投与できない
・静脈弁で途中でつかえることがある。
・静脈炎や血栓形成を起こしやすい。