カーテン徴候の病態生理とその見方
カーテン徴候はどういうメカニズムで起こるのか
舌咽神経と迷走神経は、咽頭の運動を支配しており、これらの神経が障害されると咽頭はうまく運動できなくなる。患者さんに「あー」っと声を出させることで、軟口蓋の動き、口蓋垂の偏位、カーテン徴候の有無を観察して麻痺を調べることができる。
口蓋・咽頭の機能には舌咽神経と迷走神経の両者が作用して明確に区別しづらいために両方同時に調べる。また、舌咽神経と迷走神経の一部は疑核など共通の脳神経核から起こり、近い位置を走行することから、それぞれが単独で障害されることはまれである。
ちなみに、正常の口腔内の解剖図↓
正常の場合、軟口蓋ごと口蓋垂は挙上する。しかし、迷走神経・舌咽神経に一側性の障害があると、発声時の咽頭筋の収縮が健側にしか起こらないので、障害側の軟口蓋の挙上が悪く、口蓋垂が健側に引っ張られる。そして咽頭後壁はカーテンを引くときのように全体として健側に引っ張られる(→この後咽頭のひだの偏位のことをカーテン徴候(curtain sign)という。
【左麻痺の一例】