つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

除皮質硬直と除脳硬直の違い(GCS評価)

除皮質硬直と除脳硬直の違い

 

除皮質硬直も除脳硬直も共に伸展性対麻痺の一種であり、両側性の錐体路障害により生じる姿勢異常である。両側の下肢は痙縮によって

また、除皮質硬直は上肢は屈曲位となり、下肢は股関節と膝関節が伸展し、足関節は底屈する。広範な大脳皮質の障害により出現し、慢性的な植物状態の患者に多く見られる。大脳皮質が原因なので”除皮質”と呼ばれる。

 一方、除脳硬直では、上肢も下肢と共に強く伸展し、回内位をとる。中脳の下降路の遮断されることによる所見であり、中脳の破壊性病変が原因となる。中脳が原因なので”除脳”。

*端的に言えば

除皮質硬直:上肢屈曲、下肢伸展

除脳硬直:上肢伸展、下肢も伸展 

 

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上図:decerebrate rigidity=除脳硬直 下図:decorticate rigidity=除皮質硬直

((Miscellaneous (Decerebrate vs Decorticate Rigidity basically...)))

 

 

これはGCS(glasgow coma scale)という意識レベルの重症度判定の基準にも用いられている。運動機能を見るとき

命令に従う:6点

疼痛刺激を払いのける:5点

疼痛刺激に対する四肢屈曲、逃避反応:4点

疼痛刺激に対する四肢異常屈曲(除皮質硬直):3点

疼痛刺激に対する四肢伸展(除脳硬直):2点

全く動かない:1点

除脳硬直の方がより重症。

 

 

病態生理(メカニズム)(wikipediaより引用)

除脳硬直は前庭神経核および橋網様体を中枢とする反射で起こると考えられる。骨格筋の筋緊張はこの二つの神経核から出る内側縦束および外側前庭脊髄路という二つの伝導路からの支配を受けている。前庭神経核の内側核および橋網様体から発する内側縦束は脊髄前角にある抑制性介在ニューロンを通して、下位運動ニューロンの興奮を抑制している。一方前庭神経外側核から発する外側前庭脊髄路は同じ骨格筋でも屈曲筋への運動ニューロンに対しては抑制性に働き、体幹筋や伸展筋へのそれに対しては興奮性介在ニューロンを通して興奮を促進している。抑制性の支配は、同時に赤核脊髄路、皮質脊髄路などを通じ、より上位中枢からの支配も受けている。中脳以上からの信号入力がなくなると、体幹筋や伸展筋では抑制性入力が相対的に弱まり、まず筋紡錘を支配するγ運動ニューロンの発火が亢進する。これにより脊髄反射経路を通った興奮がα運動ニューロンを興奮させて筋緊張の亢進状態が持続するのである。実際に実験動物において、脳幹を中脳の上丘と下丘の間のレベルで離断すると、除脳硬直の状態を起こすことができる。