尿細管マーカーβ2MG、α1MG、NAG違い
尿細管マーカーβ2MG、α1MG、NAGの話
β2ミクログロブリン(β2MG)
α1ミクログロブリン(α1MG)
NアセチルβDグルコサミニダーゼ(NAG)
この3つは近位尿細管の障害により尿中排泄量が増加するので近位尿細管が傷害されたという意味合いの早期マーカーとして利用されている。
これらの分子が正常時、尿細管障害時それぞれの動態がどう異なってるのかメモ
β2MG:
これは全身の有核細胞にそんざいする低分子タンパク質。本来なら糸球体で濾過された後、近位尿細管でほとんど再吸収される。よって尿中には排泄されない。しかし尿細管が傷害されていると再吸収できないために尿中に排泄されるようになる。
α1MG:
これは主に肝臓で産生される低分子の糖タンパク質。β2MG同様、糸球体で濾過された後に近位尿細管で再吸収されるが、尿細管が傷害されていると再吸収されないために尿中に排泄されるようになる。
NAG:
これは全身に広く存在する糖質分解酵素。特に近位尿細管上皮細胞に多く含まれる。通常は尿中に排泄されることはないが、近位尿細管が傷害されると近位尿細管上皮細胞からNAGが逸脱して尿中に排泄されるようになる。
これらのマーカーの用い方の違いとして…
β2MGとα1MGは近位尿細管の機能的障害の指標(再吸収の障害)
NAGは近位尿細管の器質的障害の指標(=細胞の破壊)
ということもできる。