対向流増幅系のメカニズム
対向流増幅系のメカニズム
ややこしい名前をしているが簡潔に言うなら濃縮尿を作り出す尿細管の仕組み。
原尿の通る順に何が起きるのか見ていくと…
@ヘンレの細い下行脚
水透過性が高く、またヘンレの太い上行脚で再吸収されたナトリウムにより周囲の間質は浸透圧が高くなっている。そのため、浸透圧の低い原尿が通過すると水が受動的に間質へと流れる。(尿濃縮)
@ヘンレのループ先端
下降脚を下行するにつれ間質の浸透圧が高くなるため、水が流出し続け、先端に達するころには高張尿となる。
@ヘンレの細い上行脚
水透過性が低く、ナトリウム透過性が高い。
上行するにつれ、間質の浸透圧が低くなるためナトリウムは濃度勾配に従ってでていく。(尿希釈)
@ヘンレの太い上行脚
Na+K+2CL-共輸送体により能動的にNa+が再吸収される。(尿希釈)
@集合管
ヘンレループで作られた間質の浸透圧勾配により、間質と等張になるまで大量の水が再吸収される。
まとめると…
腎髄質のヘンレループは下行脚と上行脚が向かい合う構造をしていて、上行脚のNa+再吸収が間質を介して下行脚に影響をおよぼしている。この構造により間質には腎皮質から腎髄質に向かう大きな浸透圧勾配が形成される。このしくみを対向流増幅系と呼ぶ。ヘンレループの下降脚では浸透圧勾配による尿濃縮が、上行脚では浸透圧勾配とNa能動輸送による尿希釈が行われており、これによりさらに浸透圧勾配が維持される。集合管では浸透圧勾配によって尿濃縮が行われる。