遺伝子とDNAの違い
遺伝子とDNAの違いについて
まずは遺伝子についてのお話をしましょう。
遺伝子とは何か・・・。簡単にいえば、遺伝する粒子のことです。
子は親に似るといいますが、それはつまり遺伝しているからです。
何が遺伝するのかというと、例えば二重まぶただったり、髪の毛の質だったり、身長だったり、あるいは頭の良さも遺伝するのかもしれません。
その事自体はずっと昔から知られていました。
科学が発達する前の時代でも、子の顔と親の顔がどことなく似ているのはわかりますからね。
■それでは、遺伝子とは具体的に何なのか
こういう疑問をもった科学者が出てきました。
両親から子供に性質が受け継がれるのはわかっていても、具体的にどのような物質なのか?それとも物質ではなくエネルギー的な眼に見えないような何かが伝わっているのか。完全に手探り状態ながらも昔の科学者たちは遺伝子の正体を突き止めようとしていました。
そして、現代では遺伝子の正体がDNAであるということがわかっているのです。
つまり、遺伝子=「親から子に伝わるもの」であるのに対し、DNAというのはデオキシリボヌクレオチドという「物質」なのです。
DNAの構造式の一例(塩基によって4種類の構造をとります)
非常に複雑な構造をしていますよね。これをヌクレオチドといいます。
ヌクレオチドがたくさん繋がったものを一般的にDNAと呼ぶのです。
↑これでは4つのDNAができていますね。上から順番にアデニン、シトシン、グアニン、チミンです。4つの塩基が出てきて、それぞれDNA二重螺旋のもう一方の塩基と結合するので4塩基対と数えます。そしておよそ30億塩基対のDNAが全身の体にあることが知られています。
DNAが30億個も連結した超長い物質なのに対して、遺伝子というのはDNAの中におけるタンパク質になる領域の事をいうのです。その遺伝子の数はおよそ23000個。
つまり、DNA全てが遺伝子として働くわけではなく、その中で遺伝子として働く部分とゴミのように何の意味もない部分があると考えられています。
DNAの中には色々な遺伝子があるのです。
眼の色を決める遺伝子
髪のくせ毛を決める遺伝子
ガンになりやすいかどうかを決める遺伝子
身長に関わる遺伝子
などなど…
遺伝子はDNAという長く続く道路に停車している車みたいなものとも言えるかもしれません。
上の図は植物のDNAの図ですが遺伝子A,B,Cと3つ出てきていますね。
遺伝子Aは植物の甘さに関係する遺伝子
遺伝子Bはたくさん実をつけれるかに関係する遺伝子
遺伝子Cは病気に強いかどうかの遺伝子
です。そして遺伝子AとBのあいだにあるようなDNAはタンパク質になることなく意味を持たないと考えられています(最新の研究では遺伝子発現の調整に関与しているとも考えられていますが)。