つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

組織培養、茎頂培養とは

■組織培養とは

生物の組織片や細胞を取り出して、適当な条件下で生存させることを組織培養という。分化した植物の細胞を適当な培地で培養すると、分化していた細胞が脱分化して未分化な状態に戻り、これが体細胞分裂を行って、未分化な細胞の集団(カルス)を形成する。カルスを適当な培地で培養すると細分化して根・茎・葉をもつ完全な植物体を形成させることが出来る。このようにして目的とする特徴を持った植物を大量に得ることが出来る。

カルスというのは人間で言うところのiPS細胞ともいってもよく、ここから様々な細胞に分化できるわけである。たとえばサイトカイニン濃度を低く、オーキシン濃度を高くするとカルスから不定根が分化する。逆にサイトカイニン濃度を高く、オーキシン濃度を低くすると、不定芽が分化することは有名である。

ちなみに不定根というのは本来作られない場所に作られる根のこと。同様に不定芽というのは本来作られない場所に作られる芽のことである。

■茎頂培養とは

茎頂分裂組織を用いて組織培養することを茎頂培養という。茎頂分裂組織は分裂が盛んでウィルスに感染していない細胞から成るので、これを無菌的に組織培養すると、ウィルスに感染していない植物体(ウィルスフリー)を作ることが出来る。


・ランの場合

洋ランはほとんど組織培養で増殖された苗から作られている一例である。洋ランは株分けで繁殖するときわめて増殖効率が悪い。また、種子は胚乳が無いので、普通にまいたのではほとんど発芽しない。それで、無菌培養を行って発芽させるのだが、親と同じものが出るとは限らないという欠点がある。しかし、組織培養では同じものをフラスコや試験管内で大量に増殖できるので非常に効率的である。


・カーネーションの場合


 カーネーションの苗も組織培養されているが、洋ランのように同じものをたくさん得るためではなく、無病の苗を作ることが目的である。カーネーションはウイルスなど苗から伝染する病気が多い。植物の茎の先端部の生長点付近は、細胞の分裂が盛んで、無菌的なのである(植物のRNAサイレンシングという機構によってウィルスは抵抗を受ける)。これを顕微鏡下で取り出して試験管内で培養する。大きくなってから普通方法で挿し木して増殖する。同じように、キクやイチゴなど、挿し木や株分けで繁殖する多くの植物は、これと同じ方法で病気に侵されていない無病の、健康な苗を作っている