つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

間接ビリルビンと直接ビリルビンの違い

■ビリルビンとは

体内のビリルビンの多くは老化した赤血球が脾臓などの網内系で破壊されることによって生じる。
赤血球が破壊されるとヘモグロビンが放出され、ヘモグロビンはヘムとグロビンに分解される。

ヘムタンパクは更に鉄イオン(3)とビリベルジンに分解され、ビリベルジンが間接ビリルビンとなる(非抱合型ビリルビンともいう)。
ちなみにビリベルジンは胆汁色素でもあり、緑色をしてます。

つまり、間接ビリルビンとは古くなった赤血球のヘモグロビンが分解されて出来たものなのである。

たいしたことはないです・・・。

脾臓から出てきた間接ビリルビンは脂溶性物質なので血中のアルブミンと結合して、肝臓に運ばれる。

肝臓に運ばれた間接ビリルビンはグルクロン酸抱合を受け、水溶性の直接(抱合型)ビリルビンとなり、胆汁色素の主成分として排出される。

グルクロン酸抱合とか難解な言葉のようですが、グルクロン酸転移酵素というものによって、間接ビリルビンがグルクロン酸と結合するだけです。
グルクロン酸は水に溶けやすい物質なので間接ビリルビンも水に溶けやすい直接ビリルビン(=抱合型ビリルビン)になることができるのである。

グルクロン酸がどのぐらい水に溶けやすい物質なのかというと、このぐらいです↓

なんと水酸基の豊富なこと。これなら水と仲良く出来そうです。


腸管内に排出された直接ビリルビンは、腸内細菌の働きによってウロビリノーゲンに代謝され、糞便中に排泄される。一部は腸管循環によって再吸収され、腎臓から排泄される。

ウロビリノーゲンはさらに還元されてステルコビリノーゲンになり、別の部位が酸化されて最終的にはステルコビリンになる。
このステルコビリンは大便の茶色の元である。

一言褒めておくとステルコビリンは、河川の糞便汚染の生物化学的マーカーとしても活躍されている。

ウロビリノーゲンの一部は再吸収されて、酸化されて黄色のウロビリンとなり尿から排泄される

つまり、大便の茶色も、尿の黄色も元ネタは赤血球のヘモグロビンの代謝産物だったのである!!


追記:正常な状態では、大腸内の細菌層によって作られた無色のウロビリノーゲンの大部分は、その場所でウロビリンに酸化されてから、糞便中に排出される。空気中にさらした糞便が暗色化するのは、残っているウロビリノーゲンがウロビリンに酸化されるからである。




■直接ビリルビンと間接ビリルビンの値が大事な理由

直接ビリルビンと間接ビリルビンを測定することによって体にどんな異常があるかがわかります。

・溶血性黄疸(血中間接ビリルビンup、尿中ウロビリノゲンup

主な疾患として溶血性貧血が考えられます。
赤血球が寿命を迎えて破壊されると中からヘモグロビンが出てきて、それが処理されて間接ビリルビンとなります(上記の通り)。
しかし、もし異常なスピードで赤血球が破壊されると(溶血)、大量の間接ビリルビンが肝臓に送られてグルクロン酸抱合が追いつきません。
すると血中の間接ビリルビンの量が大幅に増えてしまう
のです。
更に、大量のビリルビンが胆汁を通過して腸内に移行してウロビリノーゲンの生成量が増えるため、尿中ウロビリノーゲンが上昇する。
(ウロビリノーゲンというのは直接ビリルビンが腸内細菌の働きによって変換されるものでした。)




・閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞性黄疸(血中直接ビリルビンup、尿中ウロビリノゲンdown、

考えられる疾患として、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆石症などなど

これは胆汁がうっ血して、直接ビリルビンが胆管にいけず、肝臓からそのまま血中にあふれ出してしまうために起こります。
胆汁が腸管に移行できないためにウロビリノーゲンの生成量も減ります。(ウロビリノーゲンは腸内細菌の働きで作られるものだから)







・肝細胞性黄疸(血中直接ビリルビンup、尿中ウロビリノーゲンup

考えられる疾患としては急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変などなど

肝細胞が傷害されると、生成した胆汁を胆管へ運搬する機能が低下するため、直接ビリルビンが血中へあふれ出してしまいます。
よって血中の直接ビリルビン濃度は上昇します。しかし、それなりの直接ビリルビンが腸管にいく。するとウロビリノーゲンになり、一部は肝臓に戻る。
が、肝臓でのウロビリノーゲン処理量も低下するので尿中ウロビリノーゲンは上昇してしまうのである。
ちなみに、劇症肝炎のように肝細胞障害が著しい場合は間接ビリルビンの抱合も著しく傷害され、血中間接ビリルビンの割合も増加します。



(ウロビリノーゲンの大半は便と一緒に排泄されますが、一部は腸管から吸収され、再び肝臓へと戻って血液中や腎臓をめぐり尿中に排泄されます。しかし肝臓病になると、肝臓で処理されるウロビリノーゲンが少なくなりますから、尿に出るウロビリノーゲンの量は正常の数十倍にもなります。『肝臓の悪い人は尿が濃くなる』といわれるのは、このためです。