つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

主な植物ホルモンとそれらの機能について

主な植物ホルモンとそれらの機能について


ベトナム戦争で米軍が乱用したオーキシン

1970年代のベトナム戦争でアメリカ軍は森を枯らすため、空から2,4ーDや2,4,5ーTなどの合成オーキシン系除草剤(枯れ葉剤)をまいた。これによって森の生態系が破壊されただけでなく、薬剤中に混入していたダイオキシン類が現地住民に大きな後遺症を残した。(人工オーキシンを合成する副産物としてダイオキシンが生成される。)



天然オーキシンの名称はインドール酢酸といい、基本的な機能としては・・・
細胞壁を柔らかくすることで細胞の伸長を促進させる。(屈性に関係)
枯れ葉剤はこの成長に目を付け、異常成長によって枯れさせることができる。
不定根の形成を促進するので差し木に使われる。
そのほか、細胞分裂の促進、頂芽優勢、離層形成を抑制、果実の肥大成長の促進などがある。茎の先端や芽で作られる。

オーキシンの最適濃度というのは器官によって異なるが、
最適濃度よりも大幅に濃い濃度にすると、成長ではなく、むしろ成長を抑制してしまうのである。
(最適濃度は根、芽、茎の順にうすい)

他に重要な点として、極性移動がある。ほとんど茎に対して垂直方向、つまり基部方向(根の方向)にしか移動しない。これは重力の影響によるものではなく、たとえ茎(植物)が横たわっていても変わらず基部に向かって移動する。これを極性移動という。



種なしブドウを作り出すジベレリン

通常、果実はめしべの柱頭に花粉がついて受粉することで子房の中に種子ができ、子房がふくらんで実になる。ところが、ぶどうは受粉しなくても、房をジベレリン液に浸すことで実を作ることができる。その結果、受粉していないので種なしぶどうができるのである(つまり単為結実促進 - 胚発生がないまま子房の肥大を誘導する。)

ジベレリンはアミラーゼを合成する作用がある。アミラーゼは胚乳のデンプンを糖に分解する(胚乳は胚の成長のためのエネルギー源by重複受精)。そして糖は胚に吸収され、胚の成長のためのエネルギー源となる。@種子発芽

このジベレリンはイネ馬鹿苗病の原因究明で発見された。矮性植物(生まれつき背丈の低いもの)に加えると正常に成長する。

伸長成長の促進 - 微小管の配列を変化させることによる。
休眠打破・発芽促進 - 農作物に広く利用されている。アブシシン酸とは拮抗的な作用をする。
花芽形成・開花促進 - 花弁類の開花促進に利用されている。



植物版iPS細胞を作り出すサイトカイニン(+アンチエイジング)

切り取った葉っぱをサイトカイン溶液に入れておくといつまでも若々しくいられるという老化防止ホルモン。
更に細胞分裂を促進し、気孔を開けるといったテンションの高めな物質であり
オーキシンとサイトカイニンを合わせて組織培養すると、カルスと呼ばれる未分化な細胞塊が形成される。人間で言うiPS。
(ちなみにオーキシンが相対的に多いと、根が分化する。サイトカイニンが相対的に多いと、茎や葉が分化する。)




引きこもりホルモン、アブシジン酸

発芽抑制・茎の伸長抑制・離層の形成促進による落葉・休眠促進・気孔の閉鎖といったオールラウンド的ひきこもりホルモン。
すべてがネガティブでサイトカイニンとは逆なキャラクター。




カーネーションも枯らすエチレン



ガス灯による街路樹の落葉についての原因究明から発見された。
気体の植物ホルモン:果物から気体として放出されるため、母の日のカーネーションとりんごがたまたま同じトラックに乗せられて運ばれたときにカーネーションがすべて枯れてしまったという逸話もある。エチレンが気体がゆえに。

接触刺激などによる細胞の伸長成長の阻害:つまり触れるとそれが刺激となり、エチレンが出て伸長成長が阻害される。たとえばユリの温室栽培で、通路側のユリは背丈が低くなることが知られている。また、盆栽も毎日触りながら育ててると成長が悪いという話も。

果実の成熟促進;未熟なバナナと成熟したバナナを同じ箱に入れておくと未熟なバナナが一気に成熟する。もしスーパーで買ったものの緑色をしていたら黄色いバナナと一緒に入れましょう。

離層の形成を直接促進:りんごなぜ落ちるのか。収穫時期が近づくと、果物と枝の間に離層という木化しない特殊な細胞層がつくられる。離層が形成されると枝と果実の軸の間が明確になり、外部から徐々に切れ込みが入り、果実が落果する。離層を形成するのがエチレンであり、切れ込みを入れるのが細胞壁を分解するセルラーゼという酵素である。