素数ゼミ(周期ゼミ)は何故生まれたか
17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! (サイエンス・アイ新書 72)
- 作者: 吉村仁
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2008/07/16
- メディア: 新書
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普通の蝉は6、7年土の中にいて羽化するのを待ってる。
素数ゼミ(周期ゼミ)は13年、もしくは17年も地中にいる。2004年には大発生してアメリカで大きなニュースに。
セミが地中にいる時間というのはつまり養分を蓄えている。豊富なら比較的早くでれるし、そうでなければ遅くなる。特に気温も重要で寒ければなかなか出れない。
素数ゼミの先祖は氷河期に起因する。その頃寒過ぎて栄養が簡単に集まらなかった。何とか外に出れても外は凍りついていてほとんどが交尾することもなく死んでいった。しかし、絶滅しなかった。
何故か。
氷河期の影響を受けずに地表が凍らなかった場所がある。それがアメリカ東部。
現在でも17年ゼミは北部、13年ゼミは南部に生息している。
セミ以外の動物もたくさん生き残った。避難所のような場所をレフュージアという。
それに比べてヨーロッパは氷河期に完全に包まれたので他の大陸に比べたら生物種が少ない。
レフュージアという狭い場所でほそぼそと幼年期を過ごすセミたち。周りの環境がおなじなので成長スピードも同じ。同じ年に地上に出ることが多くなった。そして兄弟姉妹同士で交尾した。次第に一年でもずれて地上に出ると交尾相手が全くいないという状態に・・・。
更に冒険心のあるセミは外に出ても交尾相手がいないので死に絶えた。よって生き残ったのはあまり遠くまでいかない定住性のものばかり。よって周期的にある場所でセミが大量に発生するのである。
十年周期のセミと五年周期のセミが交尾して七年周期の子供が生まれたとしても、交尾相手がほとんどいなくて死ぬだけ。だから13と十七という素数だと最小公倍数は221年と非常に大きくなって中々他種に出会うことなく自分たちだけで交尾してその集団を後世まで残すことが出来た。素数と生物が絡むとは非常に面白い。