つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

運動系の機能と異常まとめ

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■錐体路と運動麻痺

【錐体路とは】

骨格筋の随意運動を司る神経の伝導路。正式名称は皮質脊髄路で大脳皮質から脊髄前角に至るからそういわれている。
大脳皮質運動野→内包後脚を通過→錐体のやや下側で交叉(錐体交叉)→脊髄の側索をひたすら下降して最後はそれぞれの目的地に対応した脊髄前角細胞にいたってシナプスを形成。つまり錐体路は上位ニューロン。脊髄前角細胞からが下位ニューロン。

【単麻痺と片麻痺と対麻痺と交代性片麻痺】

単麻痺・・片側上肢や片側下賜などのように一つの体肢に生じた麻痺。(ほとんどが下位ニューロン障害)

片麻痺・・単麻痺よりも範囲が大きい。つまり片側の上肢と下肢両方の麻痺。錐体路の上位ニューロンは内包に近づくと多くの神経繊維が隣接して走っている。よって障害によって上肢にいく繊維と下肢に行く繊維の両方がやられれば上肢下肢共に麻痺してしまうのである。具体的には内包の上から頸髄上部までの病変。

対麻痺・・両下肢の麻痺。ほとんどは脊髄の横断的な障害に起因する。

交代性片麻痺・・脳幹の障害で同側の脳神経障害(下位ニューロン障害)と反対側の片麻痺(上位ニューロン障害)が起こる。→つまり、脳神経核と錐体路が同時にやられるとそれらの患側の脳神経核障害に加えて反対側の(つまりこれから交叉するので)片麻痺(上肢+下肢)の障害が出てしまうと言う変わった症状。

【筋トーヌスとは】

安静時においても自律神経が筋肉を常時低頻度で刺激していて、筋肉が常に一定の堅さを保っていること。
上位ニューロン障害では筋トーヌス亢進してかちこちになり、下位ニューロン障害では筋トーヌスは低下する。
なぜなら、下位ニューロン障害では大脳からの興奮せよという命令が届かなくなっているからであり、逆に上位ニューロン障害では近くの抑制性介在ニューロンがダメージを受けるために、大脳皮質からの指令が抑制されずに強いまま行き渡ってしまうから。
例外として、脳梗塞などの上位ニューロンの急性障害では一時的に筋トーヌス低下し、数週間後に筋トーヌス亢進となる。メカニズム不明。

【腱反射、筋紡錘(役割、上位ニューロン、下位ニューロン障害時にどうなる)】


腱、つまり筋肉と骨の結合部をハンマーなどで叩くと筋が引き延ばされる。しかし、伸びきってしまわないように、筋張力受容器や筋紡錘が脊髄後根にメッセージを送ってそれが前角細胞に伝わり、そこから末梢神経が筋肉に伸びて収縮させるのである。上位ニューロン性障害では介在性抑制性ニューロンが働かないので前角細胞が興奮し、反射は亢進する。下位ニューロン障害では前角細胞が働いてくれないので反射低下する。



【クローヌスとは】


クローヌス(間代)とは,規則的な筋収縮運動であり,反射亢進と同じ診断的意義を持っている。膝と足のクローヌスが典型的であるが,その場合には上位ニューロン性障害が考えられる。健常者では見られない現象。

【表在反射とは】

皮膚や粘膜を刺激すると筋肉が収縮する反応。健常者に起こる。
腹壁反射、肛門反射、足底反射など。


【バビンスキー反射とは】

足の裏をとがったもので踵から爪先にむけてゆっくりとこすると、足の親指が足の甲(足背)の方にゆっくり曲がる現象。
他の4本の指は外側に開く(開扇現象)。通常では足が足底に向かって屈曲する。これは錐体路障害を疑うことになるが、錐体路の形成が未熟な幼乳児でも陽性となる。




【繊維束攣縮】
・・ぴくぴくと引きつるような筋肉の収縮(下位ニューロン障害で出現=筋肉の神経支配が無くなったとき)。
健常者でも過緊張などによって起こることがあるので臨床的な意義は低い。



【筋萎縮】
筋肉の量が異常に減少した状態。下位ニューロン障害で著名に認められる。


【偽性球麻痺と球麻痺とは】
球とは延髄のこと。(形状的な意味で)
球麻痺は延髄の運動神経核の麻痺を意味する言葉(9,10、12核)→嚥下困難、構音障害、舌の運動障害

ちなみに、延髄の核は大脳皮質からの皮質延髄路に支配されているので、上位ニューロンである皮質延髄路が傷害されても、下位ニューロンが傷害されても症状は似ている。9、10、12核が麻痺した場合を球麻痺といい、上位ニューロンが麻痺した場合を偽性球麻痺という。

■不随意運動

【振戦】

振戦はリズミカルで主動筋と拮抗筋が相反性に運動する。
安静時振戦・・・安静時
姿勢時振戦・・・一定の姿勢を取ったとき
運動時振戦・・・何かを行おうとしたとき(随意運動に付随して)

【振戦について〜パーキンソン病、本態性振戦、holms振戦、小脳性振戦】

パーキンソン病・・安静時振戦で4〜9の遅い振戦で左右差あり。
本態性振戦・・姿勢時振戦+運動時振戦
生理的振戦
ホルムズ振戦
小脳性振戦
口蓋帆振戦

【ミオクローヌスとは、そしてその分類】

電撃的なぴくっとした筋の収縮のこと。運動ニューロンの突然の興奮に起因する。

皮質性ミクローヌス
皮質下性ミクローヌス
脊髄性ミクローヌス
陰性ミクローヌス

【舞踏運動】

不規則、律動的、唐突な運動で比較的素早く、周囲から見ると落ち着かなく見える。
精神的な緊張で増悪し、睡眠時は消失。
ハンチントン病の他、syndenham舞踏病、妊娠舞踏病など原因となる病気はたくさんある。


【ジストニア】

体幹、四肢、顔面のねじれるようなゆったりとした運動。本来主動筋が収縮しているときは拮抗筋は弛緩していなければならないが、同時に収縮することによって起こる病気。
特発性ジストニア・・特定の動作の時のみ発生・・・ものを書く、箸をもつなど

【アテトーゼ】

一定の姿勢を保持する際にたこの足が這うようなゆっくりとした不随運動。
ジストニア同様、主動筋と拮抗筋が同時に収縮することが原因。しかし、ジストニアが一定の姿勢以上なのに対して、アテトーゼは常に姿勢が変動する。

【バリスム】

四肢を付け根から投げ出すような激しい運動が起こる。ほとんどが片側に起こるのでヘミバリスムとも呼ばれる。
原因は反対側の大脳基底書くの視床下核の障害。

【ジスキネジア】

口周囲の異常で、何かを食べるように口を動かしたり、舌を出したり引っ込めたりする運動。口周囲にしか起こらない舞踏運動とも言える。多くは薬剤誘発性でドーパミンの感受性の亢進に起因。









■筋トーヌス

【筋トーヌス:弛緩、痙性、固縮の違い】

弛緩・・・筋トーヌスが低下した状態:下位ニューロン障害か小脳失調
痙性・・・上位ニューロン障害によって抑制性介在ニューロンがダメージを受けて筋トーヌスが亢進する。
固縮・・・




■運動失調
【運動失調とは】

運動失調とは麻痺や不随意運動が無いにも限らず個々の筋肉が強調できないために目的に沿った運動を円滑に行えない状態。

【小脳性運動性失調】

小脳虫部がやられるとバランスがとれなくなるので体幹性運動失調=体軸を重力の方向に合わせていないと姿勢を保てない。

小脳半休がやられると、手を目的物に届かそうとするときにそれを通り越してしまったりしてうまくコントロールできない。

強調運動障害・・・人は何か体を動かそうとするときに一つの筋肉だけを動かすだけでなく複数を同時に上手く調節することによって行動を実現させているが、小脳障害によって強調が出来なくなること。

変換運動障害・・・

構音障害・・・発語も咽頭筋群の協調運動によって営まれているが、小脳障害があると異常になる。
本来切って発語すべき部分がつながったり、切って発語すべきでない部分が切れてしまったりする。


【脊髄後索性運動失調】

位置覚や振動覚などの深部感覚情報は脊髄後索を通って脳に伝えられるので脊髄後索障害ではこれらの情報が失われる。よって例えば腕を上げたときなどに自分の腕の位置が正確に認識できなくなる。しかし視覚の補正が聞くのでまだまし。小脳性失調のように運動プログラミングの異常が生じるわけではないので変換運動障害や協調運動障害は見られない。


■歩行の異常

【分回し歩行、はさみ足歩行、頸歩、動揺歩行、運動失調性歩行について】


分回し歩行・・・半円を描くように片足を前方に外転させながら歩く状態=錐体路障害による片麻痺
はさみ足歩行・・・はさみで物を切るように両足をクロス=痙性対麻痺
頸歩・・・鶏のように足を大きく上げて歩く状態=charcot-marie-tooth病
動揺歩行・・・腰を左右に大きくゆらしながら歩く歩行=デュシャンヌ型筋ジストロフィーと多発性筋炎が原因
運動失調性歩行・・・運動失調があるときに見られる歩行(小脳性失調や脊髄後索性失調や前庭性失調など)