つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

急性アルコール中毒で死に至るのはなぜか

急性アルコール中毒が人を死に至らしてしまう

慶大男子学生「一気飲み」で死亡…サークル解散

 慶応大の男子学生が今年6月、テニスサークルの懇親会で飲酒し、翌日死亡していたことが24日わかった。「一気飲み」を繰り返したことによる急性アルコール中毒とみられ、慶応大は今月9日付で、このサークルを解散処分とした。同大によると、死亡した学生は成人。6月27日夜、所属する大学公認サークルの懇親会で、参加者同士で互いにあおりながら飲酒を続けていた。未成年の学生もいたという。同大は、学生たちから事情を聞くなどしたが、死亡した学生への飲酒の強要については確認できなかったという。同大広報室は「二度とこのようなことがないよう、全学生に周知徹底した」としている。

by(読売新聞:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121025-00000088-yom-soci


何故お酒を飲むと酔うのか

お酒、つまりエタノールというのは体内でどのような代謝を経るのだろうか。
まず、エタノールはアルコール脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドに変換される。続いてアルデヒドデヒドロゲナーゼという酵素によって酢酸になる。
簡単に書くと
エタノール

アセトアルデヒド

酢酸

という感じである。酢酸まで変換されてしまえば害はないのだが、エタノール、アセトアルデヒドの段階だといわゆる「酔い」が発生する。ただ、エタノール、アルデヒドの酔いのメカニズムはそれぞれ異なる。

エタノールの酔いというのは中枢神経系の抑制が原因である。低レベルの血中濃度では抑制系神経に対して神経抑制効果が掛かるために結果として興奮が助長される。 血中濃度が上昇するにつれて、運動器や意識を司る神経系にも抑制が掛かり、運動の反射時間の延長や刺激への無反応を生じる。 さらに血中濃度が上昇すると脳幹まで抑制するので、呼吸機能や心肺機能を停止させ死に至る(これが急性アルコール中毒)。


一方、アセトアルデヒドの酔いについて
アセトアルデヒドのアルデヒド基はタンパク質の側鎖などと結合して強い反応性を示すためにエタノールよりも毒性が高い。DNAとも結合するために発がん性も有する。症状としては、頭痛、嘔吐・吐き気、喉の渇き、胸のむかつき、体の震え、アルコール性胃炎による悪心などの自覚症状がある。




急性アルコール中毒はお酒に強い人にも起こる

一般的にお酒に「強い」「弱い」というのはアセトアルデヒド分解酵素によってどれだけ速やかにアセトアルデヒドが解毒されるかによって定義されている。アルデヒドがすぐに分解されればいくらでもお酒を飲めるという印象があるかもしれない。しかしながらよく誤解されがちなことではあるが、急性アルコール中毒というのはアセトアルデヒドの量は関係なく、血中アルコール濃度のみが重要なのである。つまり、お酒を飲んでそれがエタノールからアセトアルデヒドに分解されるまでにより多くのエタノールを飲んでしまえば血中アルコール濃度が大きく上昇し、前述の通り急性アルコール中毒死を引き起こしてしまうのである。であるから、「お酒に強い人」というのは時間をかければいくらでも飲めるかもしれないが、短時間に大量に飲めばやはり急性アルコール中毒になってしまうのである。短時間にお酒を飲んで酔いつぶれている人が居たら迷わず救急車を呼ぶべきである。