つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

心電図と活動電位の関係

心室筋の活動電位図の見方


(役に立つ薬の情報〜専門薬学より拝借)


心室筋細胞における静止膜電位は深く、-90mV程度である。心室筋細胞の脱分極相(第0相)は速いNa電流(INa)が細胞内に流れて活動電位が立ち上がる。つまり、細胞内の電位が負から正になるのである。そして、脱分極が起こると先ほどのナトリウムチャネルの不活性化が起こり、それ以上のナトリウムの流入はストップする。これが第一相で起こっていることである。

続いて、第二相では電位依存的なカルシウムチャネルとカリウムチャネルが開く。カルシウムは細胞の中に流入し、カリウムは細胞の外へ流出していく。それぞれが電化的に相殺し合っているわけであるが、最終的にカルシウムイオンの透過性が減少し、カリウムイオンの透過性が上昇していくので外に出て行くプラス電荷が多いと言うことになり、少しずつ細胞内電位はゆるやかに下がっていくのである。これをプラトー相という。

これが二相で起こっていることである。


更に、3相では何が起きているのか説明しよう。

カルシウムチャネルの透過性が減少したと上述したが、カリウムチャネルの透過性は高まり、これを不活性化させる機構はない。であるから、そのままカリウムが細胞の外に出て行き、最終的に静止膜電位の状態に落ち着くのである。

尚、カリウムチャネルは3つに分けることが出来る。
IKr IKs IKiである。
Krのrはrapid
Ksのsはslow
の意味である。

第2相で出てくるカリウムチャネルはKrと呼ばれ、第三相で出てくるカリウムチャネルはKsと呼ばれる。心室筋細胞にはKIチャネルがたくさん発現しているので、静止膜電位が深いのである。



おまけ:どうして細胞外カリウム濃度が高いと(高カリウム血症)危ないのか。
細胞外カリウム濃度が高いと、正常時のように細胞内から細胞外へカリウムが流れられず、むしろ細胞外から内部へとカリウムが入ってくる。すると膜電位が高くなり、-40mVを超えた当たりでナトリウムチャネルが不活性化してしまうのである。
活動電位の発生にはナトリウムチャネルの活性化が必須であるため、高カリウム血症では活動電位が発生しにくくなってしまうのである。