つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

治験バイトは安全なのか危険なのか

「治験バイト」なんて言葉を聞いたことはないだろうか。
いわゆる、製薬企業が現在臨床試験を進めている薬を飲んでその経過を観察されるという被験者としてのアルバイトである。

これは一般的に病院のベッドでごろごろしながら(時にはゲームしたり漫画読んだり)、時々薬を飲んで、通常では考えられないような大金がもらえるということで「おいしいバイト」と言われたりする。

実際に以前知り合いが薬飲んで病院行っただけでパソコン買えたなんて自慢してたりもした。

こういう話を聞くと、「報酬が高いってことはそれだけ危険なんだよ!」「お金を得て障害でも負ったらどうする!」なんていう方も出てくるかもしれない。だが、よく考えてみると治験のアルバイトの副作用で健康を損じたりなんて話は聞いたことはない。実際の所、製薬企業も細胞レベル、動物レベルでの研究を長年繰り返して、ようやく人で試しているわけだから、そんな危険な薬とは思えない気もする。(ただし後述のようにこの考えは誤り)

実際に、治験のバイトだけで生活している「プロの治験者」なんて人もいるぐらいである。
2chとかでも「治験のバイトで725000円手に入れた」というスレッドが立ったりして乗り遅れたら負け感すらある。
このビッグウェーブに!!!!

★★★★
しかし、治験はそんな甘いものではないと個人的には思う。
まず、被験者は製薬会社に強制されて新薬を飲まされているわけではなく、あくまで表面上はボランティアとして参加しているのである。(報酬は別のルートで渡される)
インフォームドコンセントによれば、

治験を行う者は、治験への参加者に対して、治験に先立ち、実施される試験の目的や内容について説明する義務がある。また、参加者が患者であるならば、その治療法などについてのメリットとデメリット、他の存在する治療法などを詳しく説明し、予想される最悪の帰結に関してまでの合意がなければならない。

とあり、つまり、治験はどんなやばい事態になっても自己責任ということなのである。

そして、今までに実際に治験で亡くなった方がいるのも忘れてはならない。

ソリブジンという薬があった。
これは、ウイルス感染症の治療薬であり、治療法のないEBウイルスを倒すにはもってこいの薬剤である。
しかしながら副作用発現率は3.5%で内訳は発熱、悪心・嘔気、嘔吐、食欲不振、上腹部痛、発疹となっている。日本国内では治験段階で3人、1993年9月の発売後1年間に15人の死者を出している。

勿論、この薬は普通の薬とは違い、抗ウイルスという目的のために、健康的な人への投与ではなく、ウイルス感染者に投与する者であるから、いわゆる治験のアルバイトとはニュアンスがかなり違うかもしれない。しかし、「治験」の段階で亡くなった方がいるという事例はアタマの片隅に入れておいた方が良いのかもしれない。どれだけ高時給のアルバイトだとしても、その薬はどのような効果があるのか、そして副作用が考えられるのかよく考えてから治験バイトに望むべきであると思う。