つねぴーblog@内科専門医

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フッ素入り歯磨き粉が危険なのは本当か?

歯磨き粉と言えば、虫歯予防のために使うものであり、多くの日本人が使用しているのではないだろうか。しかし、歯磨き粉の成分の中に含まれているフッ素の取りすぎは歯や骨、脳、甲状腺などを冒すリスクがあがる可能性が示唆されている。特に幼児のフッ素摂取はフッ素症をもたらし、永久歯の発達が傷害されてしまうようである。

しかしながら、フッ素は虫歯予防効果があり、多くの食品、飲料、歯磨き粉などに添加されているのも事実である。(米国においては水道水にも添加されているようだ)

因みにフッ素が虫歯を予防するメカニズムは主に3つある。
1つは、フッ素が歯表面のエナメル質と接触すると、歯と骨の構成成分であるヒドロキシアパタイトの結晶構造中にフッ素が組み込まれ、フッ化アパタイトを形成する。すると、エナメル質を溶かす酸に対する抵抗性が増すのである。(ヒドロキシアパタイトとはエナメル質の主成分であり、カルシウム、リン、酸素、水素からなる)(この酸は食べ物の残りかすを分解する口内細菌によってつくられる乳酸のことである。)2つめの機構は、歯の表面にくっついたフッ素はカルシウムとリン酸の沈着を促す触媒として機能する。このため、細菌によってとかされたエナメル質の結晶が作り直されやすくなるのである。(再石灰化)

そして最後に、虫歯菌の代謝を阻害することによる。虫歯菌も人間と同じようにグルコースを解糖系で消費してATPを生産しているのだが、解糖系の途中段階の2ホスホグリセリン酸をホスホエノールピルビン酸にする過程においてエルドラーゼという酵素が働くのだが、それをフッ素は阻害するのである。よって虫歯菌は解糖系によるエネルギー産生ができずに死滅する、というものである。


さて、フッ素の安全研究は世界各国の研究機関で実施されてきたが、過剰摂取は有害という共通のコンセンサスは得られている。しかしながら、「どの程度の濃度が過剰摂取なのか」については明確な答えを得ないまま安全宣言が出されてしまっている状態である。安全宣言と言っても歴史を遡れば水俣病、薬害エイズ、タミフルなど覆されるものは少なくない。これらには必ず企業とのつながりが見え隠れする。細菌では原子力発電所の御用学者の問題もあったし、甘味料のアスパルテームも安全とは言い切れない。科学は信頼できると思うが”科学者”を盲信することは危険である。