つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

「ほくろを取るとガンになる」は本当か?

「ほくろを取るとガンになる」のはなぜか

ほくろとは何か

まず、ほくろとは一体何であろうか。漢字で書くと黒子なのだが、皮膚にある黒い円形の組織である。

医学的に表現するならば、メラニン色素を含む細胞であるメラノサイトが他の部位に比べて高密度に集まっている点をほくろと呼ぶ。

メラニンとは日常的にもよく耳にする言葉ではあるが、これは太陽光の紫外線を吸収してくれるので非常に重要である。通常の紫外線でメラニンが酸化されて褐色になることを日焼けと言うが、紫外線による影響が一定以上であるとほくろやシミが形成されてしまうようである。逆にもしメラニンがなかったら紫外線が吸収されずに皮膚細胞に届くので、細胞内DNAに変異が入り、ガン化する可能性がある。だからほくろは言わば紫外線に対するバリアーとしての役割を持ち、進化学的には何ら問題ない、どころかあったほうが良い、ということになる。

しかしながら美容の観点からすればありすぎても困るので・・・という問題が当然ある。

少し話がそれたが。

ほくろを取ると癌になるというのは誤解


以前はほくろを刺激するとがん化してしまうというのが通説であったが、近年の研究によればほくろとは関係なく、メラニン色素を産生するメラノサイトのがん化がいわゆる「ほくろのがん化」と考えられている。
つまり、ほくろががん化するのではなく、表皮の基底部にある細胞ががん化するとほくろっぽくなるのである。こうして出来る癌のことをメラノサイトにちなんでメラノーマという(日本語で言えば悪性黒色腫)。

もちろん、現在でもメカニズムの全てが明らかになっているわけではないのでほくろは癌とは関係ないと思うのは少し時期尚早。


メラノーマを予防するには


メラノサイトのがん化、つまりメラノーマは主に紫外線への暴露でDNAが傷つくことが主な原因だと考えられている。例えば、日焼けマシーンの使用者は発症リスクが20%増加するということが知られている。
また、紫外線から皮膚を守ってくれるメラニンの少ない白人も日本人に比べると発症リスクが高い。であるから、予防するには「紫外線に長時間当たらないこと」ぐらいしかないのかもしれない。それと、メラノーマは進行が進んでなければ外科的方法により完治できる可能性が高いので、ほくろのような黒い組織が皮膚に見えるようになってきたら病院で診断を受けるべきであろう。