つねぴーblog@内科専門医

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何故白血病は子供がなるガンなのか。

何故白血病は子供がなるガンなのか。

癌というと普通は大人、それもより高齢の方のかかる病気のイメージかもしれない。しかし血液の癌と呼ばれる白血病は子供が多くかかるのである。

一体どういう事であろうか。そもそもがんというのはそれが肺がんだろうが皮膚がんであろうが、あるいは肝臓癌であろうがメカニズムは共通である。すなわち、遺伝子の損傷によってもたらされるものである。ひとの体を構成しているのがたんぱく質であるとすると、その設計図であるのがDNAであり、DNA配列の中で、一つのたんぱく質を指令しているのを遺伝子と呼ぶ。であるから、少し乱暴な言い方ではあるが、遺伝子の数だけタンパク質は存在する。タンパク質と言っても様々であり、組織に強度を与えるコラーゲンもタンパクであれば、酸素を運搬するヘモグロビンもタンパク質である。これらのタンパクを指定する遺伝子が壊れても癌になることはないが(その代わり別の重大な疾患になるかもしれない)しかしながら、原がん遺伝子、あるいは癌抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子に傷がつくと、細胞が暴走して癌になってしまうのである。

余談であるが、神経細胞は癌にならないと言われている。何故なら、分化しきっていてこれ以上分裂はしないからである。(その代わり神経細胞の周りにあるグリア細胞はがん化する→これを脳腫瘍と呼ぶ)

それでは本題に戻って、白血病とは一体どのような癌なのであろうか。大きく分けて、骨髄性白血病とリンパ性白血病が存在するが、子供がなる白血病は急性リンパ性白血病である。これはリンパ球系の造血幹細胞が腫瘍化してしまい分化・成熟能を失い増殖を無限に繰り返してしまう疾患である。通常血液は骨髄で作られるが、幹細胞は酸素を運搬する赤血球、止血する血小板、身体を守る白血球などに分化する。しかし、異常な白血病細胞は適切に分化が行われずに異常増殖し、通常骨髄に留まらず、骨髄外にもでてくる。脾臓や肝臓などに浸潤し様々な組織障害を引き起こす。また、
通常の血球細胞が作られないために、出血しやすい、肺炎などにかかりやすいなどの問題がある。

ではどうして他の癌と違い子供に多いのか。実はこの問いに答えるのは非常に難しいようだ。しかし、普通の癌と白血病のメカニズムには特徴的な違いがある。どちらも遺伝子損傷によって引き起こされるという話は既にしたが、癌の場合は遺伝子異常、例えば欠失や挿入、あるいは変異によって遺伝子の機能が失われるのが普通だが、白血病の場合、染色体の転座が起こるようである。つまり、普通の癌は変異の蓄積なのに対して、白血病の場合は突然起こる転座によって、引き起こされてしまうのである。何故転座が起きるかについてはあまり詳しく解明されていない。

また追記しようと思います。何かおかしな点がありましたら御指摘お願いします。