つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

コーヒーを飲むとトイレが近くなるのは何故か?

コーヒーやビールなどを飲んだりするとやたらトイレが近くなったりすることはないであろうか。
何故か。一言で言ってしまえば利尿作用である。なのだが、具体的にどういうメカニズムであり、生理学的にどういった意味合いがあるのかについて簡単にまとめてみた。

人の尿は腎臓で作られている。糸球体からボーマン嚢に濾過され尿細管を原尿として通過する。この時には多くの成分が排出されており、水・グルコース・無機塩類・老廃物など様々である。そして尿細管のうち、近位尿細管という部位で99%が再吸収されるのである。ここでの吸収量が調節されることにより体内の水や塩類の量が一定に保たれているのである。(いわばホメオスタシス)例えば塩分の強い物を食べたりすると体でナトリウムイオン濃度が上昇してしまう。こうすると腎臓では少しでも薄めようと浸透圧が働き水を吸収してしまう。すると、体に流れる水の量が増える=血流が増加する=血管抵抗が増加=血圧が増すという結果になってしまうのである。

そこで利尿作用のある物なら尿の排出を促進するので血液量が低下し血圧が下がり、心臓つまり循環器を保護してくれる働きを持つ(実際に心臓からはナトリウム利尿ペプチドというホルモンが放出されていることが知られている。)


ここからは専門的な話になるが利尿薬には主に3つのタイプの作用機序があるようである。
すなわち


サイアザイド系・・・遠位尿細管Na+/Cl-共輸送体に作用し、Na+、K+、Cl-の排出を促す。。

ループ系・・・遠位尿細管より手前のヘンレループのNa+/K+/2Cl-共輸送体に作用し、Na+、K+、Ca2+、Cl-の排出を促す。


カリウム保持性・・・抗アルドステロン薬は遠位尿細管、集合管のアルドステロン受容体に働きNa+の排出を促す。


少し解説しておくと、尿細管(体の内部)からナトリウムを外部に排出するので、外部のナトリウムイオン濃度が高くなり、それらを薄めようとする力(浸透圧)が働き、尿が体の外部に出ていくのである。



タイトルのコーヒーについてだが、カフェインには腎臓の血管を拡張する働きがあり、血管が拡張することで血流量が増し、濾過が亢進されて尿の生成が増加するというメカニズムである。他にも利尿作用のある飲み物としてはビール、紅茶、麦茶などが知られている。