つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

プリオンについて

プリオンとはご存じだろうか。最も悪名高いタンパク質かもしれない。実はこれは自己複製するタンパクでありDNAやRNAのような特徴を持つ。最初はどの科学者も信じなかった。それどころか常識外れだや恥知らずなどと言うような厳しいバッシングさえ浴びせた。増殖して病気の原因になるのは微生物やウィルスだけと考えられていたからである。


更に信じがたいことに、プリオンの形成は遺伝病によっても起きるが感染によっても起こり、更には遺伝や感染が無くても自然発生的に起こりえるという節が提出された。神経学者のスタンリーBプルシナーは実際にこのようなタンパク質が存在し、上記のような方法で病気の原因となることを証明し、1997年のノーベル医学生理学走を受賞している。
プルシナーはこのようなタンパク質をタンパク質状の感染性を持つ粒子という意味を込めてプリオンと名付けた。プルシナーは1974年にプリオンの研究を始めた。一部の人々は未だに懐疑的であり今後研究すべき点はたくさんあるが、これまで蓄積されてきた研究結果はこれらの信じがたいプリオンの特性の正しさを証明している。

プリオンによって引き起こされる病気は1990年代のイギリスでクロイツフェルトヤコブ病(CJD)による死者が出始めたことから医秘薬世界中の注目を集めた。この原因は狂牛病、つまり牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛の肉を食べたことであるという事実が明らかとなった、。BSEという名前は脳の組織内に空間が広がりスポンジ状になっていくという全てのプリオン病の主な症状を略した物である。羊のスクレイピー、ヘラジカやミュールジカに見られる慢性衰弱小も海綿状脳症に属する。人では遺伝性のCJDやニューギニアの原住民にかつて見られたクールーがこれにあたる。クールー派身内が死ぬとその脳を食することで敬意を表するという風習が原因であったが、カニバリズムが耐えると共にこの病気も絶滅した。海綿状脳症には現代の医学では治療法が存在せず、感染したら万事休すである。筋肉が自在に操れなくなるだけでなく、痴呆も進行し、周囲に与える絶望は果てしない物である。

プリオンとその病原性に関しては現在研究が進行中であり、多くの疑問が謎のまま残っている。例えば

・プリオン病には罹りやすい人と罹りにくい人がいるのか?

・この容器は一つの種からどの程度離れた多種へ感染できるのか?

・異常プリオンに既に感染している人や感染しやすい人を見分ける診断法を開発することは可能なのか?

そして最もクリティカルな問いとしては
アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性症も脳内に異常な構造単位が診られる病気である。これらもまたプリオン病の一種なのだろうか?



これらの謎は臨床への応用も考えて非常に重要な物であるがこれらを解決してくれそうな画期的な研究的ブレークスルーが2004年に起きた。それはプルシナーのグループが細菌中で感染性を持つプリオンを合成することに成功したのである。この成果はアミロイドベーター斑の形成および脳構造の変性への新しいアプローチにつながる物でもある。その間にもイギリスにおける狂牛病の流行は甚大な被害をもたらした。何百万等物BSE感染牛が塗擦され、1995年以降120名以上がCJDのために命を落とした。

1998年、イギリスからヨーロッパ他国への牛肉輸出に対する禁止措置が初めて執られた。しかし牛肉の輸出は以前に比べてればほんのわずかではあるが続けられており、日本でも規制の声が非常に強かったのは記憶に残っている。
しかし2006年以降は限定的にではあるが、輸入が再開されているようである。