つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

褐色脂肪細胞とダイエット

周りに食べても太らない人っていますよね。実際僕の近くにも毎日普通の人の3倍の量を食べても全然太らない女の子がいます。リアルギャル曽根ですね。

最近、食べても太らない人は褐色細胞が活発等という話をきいたので、少し詳しく調べてみました。

★★★

体には褐色脂肪細胞という物が存在します。
これは本来新生児に多く存在する物で、背中から肩にかけて体重の25%と圧倒的な量が存在します。通常の細胞よりもミトコンドリアが非常に多いのでそこに含まれる鉄イオンFe3+によって”褐色”と呼ばれるようになりました。Fe3+は黄褐色というのは高校の無機化学でも覚えさせられますね。

さて、ミトコンドリアの役割と言えばエネルギー生産です。ミトコンドリアは内膜にプロトンの濃度勾配をつくり、そのプロトンを一気に流すことによってATPと呼ばれるエネルギー分子を作り出しています。(これはダムに水を蓄え、流すことによってエネルギーを作り出している水力発電のような物です。)こうして作られたATPは体中の様々なところで使われます。筋肉の収縮であったり、タンパクの分解であったり、エネルギーの必要なところではほとんど全てこのATPという物が使われるのです。

がしかし!上述の褐色脂肪細胞にはサーモゲニンThermogeninという面白いタンパク質が存在していて、酸化的リン酸化におけるプロトン勾配を減少させる働きを持つのです。具体的に言えば、ミトコンドリア内膜のプロトン透過性を増大させて、濃度差が出ないようにしているのです。するとどうなるのでしょう。本来はATP産生に使われるエネルギーの行き場がなくなり、そのまま熱となります。このようにして熱を生み出すことを非ふるえ熱産生と呼びます。これは幼児や冬眠動物に多く見られ、寒さから体を守っているわけです。体内の他のエネルギー活動を多少犠牲にしたとしても。ですから、いくら食べても太らないという人は褐色脂肪細胞が通常の人よりも多く、エネルギー生産されずに熱として放出されているのではないでしょうか。(これはうらやましいという人もいますが、もし生まれるのが大飢饉時代などでしたら間違いなく死にますね(汗))

えせ科学なホームページなどでは背中を冷やして褐色細胞を活性化させましょうなどとかいてありますが、実際はそんなことは無いと思います。(笑)体で寒さを感知する場所は他にもたくさんありますし、最終的に間脳視床下部が関与しています。
褐色細胞は幼児期は非常に豊富にありますが、年を取るにつれて減少していくことが知られています。以前までは褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞に変換されると考えられていましたが、近年の研究では白色細胞ではなく、骨格筋と関連があるという論文も出されています。成人になっても完全になくなるわけではなく、うまく機能してもらえば脂肪をどんどんもやしてくれるわけですからダイエットにおいては非常に都合の良い細胞と言うことになりますね。現在マウスで基礎研究が進められていますが、将来臨床に応用できれば世の中から太った人が一掃されるかもしれませんね。