つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

尿蛋白の選択性〜トランスフェリンとIgG〜

腎機能が低下していると尿蛋白が出るが、タンパクの種類を調べることで診断の助けとなる。次のような考え方ベースとしてある。

腎不全の進行が軽度の場合→小さなタンパク質しか漏れない。

腎不全の進行が高度の場合→小さなタンパクに加え、大きなタンパク質も漏れる。 

 

小さなタンパクだけ漏れている場合を、「選択性が高い」と言い、

サイズに関係なくタンパクが漏れている場合を、「選択性が低い」と言う。

 

小さなタンパクの代表としてトランスフェリンが、大きなタンパクの代表としてIgGが測定される。(小さなタンパクのほとんどはアルブミンだが、計算上トランスフェリンを使う)

尿蛋白選択指数(SI)=IgGクリアランス/トランスフェリンクリアランス

と定義され、SIが0.2以下の場合を選択性が高い、SIが0.2以上の時を選択性が低いと考える。選択性が高い場合は、腎臓のチャージバリアのみの障害であるが、選択性が低い場合はチャージバリアに加えてサイズバリアの障害もあると考えることができる。

 

注:チャージバリアとは基底膜が陰性を帯びていることでアルブミンなどの陰性タンパクはクーロン力による反発のために通過できないことを言う。サイズバリアとは糸球体係蹄壁の物理的な構造のため、分子量の大きなものは通過できないことをいう。

 

この尿蛋白選択指数(SI)は臨床ではネフローゼ症候群の組織型やステロイドの効果の指標として用いられる。

ネフローゼ

微小変化型では高選択性

巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎では低選択性

ステロイドの効果

高選択性では効果が期待できる

低選択性では効果が期待できない