つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

胃管を挿入したまま食事開始してよいのか?

経口摂取が出来ず経鼻胃管を挿入している患者でも、全身状態が改善し嚥下機能も改善してくると食事摂取開始することがある。しかし食事開始が本当に大丈夫かどうかわからない時は経鼻胃管を挿入したまま食事開始をすることがある。注意点としては、経鼻胃管…

CKDの診断基準

・CKDの診断基準(2012年ガイドラインより) ①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかで特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要 ②GFR<60mL/分/1.73m~2 GFRはeGFR算出式で計算する。 *eGFRは糸球体濾過量(GFR)…

(症例)呼吸困難、腹痛・下痢、高度三尖弁逆流で来院

症例) 67歳男性 1ヶ月前から呼吸困難・下痢の症状。前日からの腹痛で救急外来受診 身体所見:びまん性喘鳴、左胸骨下縁の全収縮期雑音・V波を伴う頸静脈の膨張 腹部CT:盲腸と上行結腸の肥厚、造影性肝病変 心エコー:severe TR、三尖弁の肥厚および三尖…

過活動膀胱の診断基準

過活動膀胱の診断基準 ・過活動膀胱(OAB)は尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿および切迫性尿失禁を伴いうる状態である。 ・尿が膀胱に貯留して膀胱壁が伸展すると、それが尿意となって大脳に伝わるが、その大脳への神経伝達が機能的に亢進すると尿意切迫感の出現と…

腹部レントゲンでのケルクリング襞とハウストラの見分け方

イレウス/腸閉塞により腸管が拡張すると、小腸・大腸でそれぞれ特徴的な所見が認められる。 ・小腸がガスで拡大する時に見えるのがケルクリング襞。 ・大腸がガスで拡大する時に見えるのがハウストラである。 ケルクリング襞の方が細かいシマシマ模様であり…

嚥下調節食の分類のメモ書き

嚥下調節食の分類の備忘録 嚥下機能低下で食事を再開する時は嚥下コードを参考に開始しましょう。 嚥下障害の患者さんの食事は、咀嚼しやすい状態に調整された嚥下調整食が適している。嚥下調整食は、ただやわらかくかみやすいだけではなく、むせることなく…

COVID19による末梢神経障害について

・コロナ患者の8%が末梢神経障害を呈していたとの報告がある。 ・COVID-19の神経障害の病態は大きく非免疫性、免疫性の病態に分けられる。神経系への直接的なウイルス侵入は稀であることが剖検所見からも示されている。 ・免疫性病態に関しては、自己免疫…

VF患者にIABPを使用して意味があるか?

IABP使用中にVF・脈なしVTになった患者にIABPを使用して意味があるのか? VfなどではIABPはトリガー出来ないのでIABPは止まってしまう。 IABPにはインターナルモード(心拍数関係なく1時間に60回ー70回自動的にバルーン拡張・収縮を繰り返す機能)があ…

IABPの正常波形・異常波形

○IABPの適切なタイミングでの拡張・収縮 IABP (大動脈内バルーンパンピング)の原理さんより引用 ○心機能が改善してくると波形も変化してくる IABPを挿入するときは基本的に上図のように拡張期圧>収縮期圧であるが、 心機能が改善すると収縮期圧が上昇し始め…

褐色細胞腫のスクリーンング(カテコラミンとメタネフリンの違い)

二次性高血圧症の鑑別診断として褐色細胞腫が挙げられる。 褐色細胞腫とはアドレナリンやノルアドレナリンなど交感神経に作用するカテコミンを産生する腫瘍である(副腎髄質から産生される)。 症状としてはカテコラミンが過剰に作用してしまうので、高血圧…

IABP:心電図トリガー、動脈圧トリガーの違い

○心電図トリガー T波頂点ー下降脚開始時で拡張、QRS開始時に収縮する。 欠点:電気メスを使用時にわからなくなる ○動脈圧トリガー 動脈圧波形の収縮期の間隔を測定し、次のタイミングを算出する。 欠点:脈圧が低い患者ではうまく感知できない可能性がある。…

エンレストのEF毎にどの程度効果が違うか

エンレスト(ARNI:angiotensin receptor neprilysin inhibitor=サクビトリルバルサルタン)のEFの違いにおける効果 ・EF低下している心不全(HFrEF)に対する治療薬は存在するが、EFの保たれている(EF>40%)心不全に対する治療薬はほとんど存在してい…

サイログロブリン(Tg)測定の意義

サイログロブリン(Tg)は甲状腺特異抗原である。 甲状腺濾胞上皮細胞のみで産生され、甲状腺ホルモンT3やT4は再ログリブリンのチロシン残基のヨード化と縮合により生成するため甲状腺ホルモン産生に必須。 甲状腺分化癌全摘術後の経過観察に有用。 甲状腺がな…

TgAbとTPOAb測定の意義

甲状腺機能低下症を見つけたらTgAbとTPOAbの測定を ・橋本病においてはTgAb(抗サイログロブリン抗体)、TPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)が陽性となる。どちらかが陽性であれば橋本病の組織病変があると考えて良い。橋本病の組織病変の有無と抗体陽…

ニボー像だけで腸閉塞とは言えない理由

立位の腹部XPで二ボー(鏡面像)が見えただけで腸閉塞と言ってはならない。 二ボーの存在は腸管の中に液体と気体があるということしか意味しない。(+地球に重力があることも示唆する)。 その先の腸管が閉塞しているかどうかは別の話である。 腸閉塞の所見…

主訴:顔面の痺れの対応

顔面のしびれを訴える患者に遭遇したら… 鑑別:ベル麻痺、hunt症候群、代謝性(DM、甲状腺、膠原病等)、中枢性(脳梗塞、脳卒中、SAH、ワレンベルグ、脳腫瘍等) ・末梢性顔面神経麻痺か中枢性顔面神経麻痺か考える →中枢性ならしわ寄せができる。末梢性な…

大動脈解離stanford A型で脳虚血のある場合に外科手術の適応はあるか?

大動脈解離stanfordA型で脳虚血による意識障害が生じている場合に外科的治療の適応があるかどうかは様々な議論がなされている。 とある報告によると、脳虚血症状の出現から早急に大動脈解離の手術をした場合、意識障害の改善と神経学的予後の十分な改善が認…

bleedingとwheezingの違い

似た言葉の定義の違い ✅beedingとは血液が血管の外へ出ることで、体内での出血と体外への出血とがある。 血管の連続性が物理的に破綻して起こる出血。 圧迫や結紮などの外科的な処置を行わないと止血は難しい ✅oozing(ウージング)とはにじみ出るような出血…

間欠性跛行の鑑別

間欠性跛行の鑑別 頻度の高い主な鑑別疾患としては ・整形外科疾患の脊柱菅狭窄症 ・血管疾患の閉塞性動脈硬化症 が挙げられる。また脊柱菅狭窄症と似た疾患として腰椎椎間板ヘルニアもある(間欠性跛行の頻度は低いが) 【問診】 ・年齢 →若年であれば腰椎…

虫垂炎で抗生剤で様子を見ていいパターン

急性虫垂炎を疑ったら基本的にはすぐに外科にコンサルト が、外科医に連絡が取れない・取りにくい時の対応 急性虫垂炎かどうかの判断にはAlvaradoスコアなどを参考 ✅Alvarado score: 以下の8項目(合計10点満点)中5点以上であれば虫垂炎が疑われる。7…

心筋シンチでの運動負荷と薬剤負荷の違い

心筋シンチグラフィ(SPECT)での運動負荷と薬剤負荷の違い ✅運動負荷 ・最も生理的な負荷方法であり第一選択 ・運動するので運動負荷心電図(トレッドミル)のような心電図での虚血判定も併せてできる ・運動負荷の終了基準(目標心拍数達成、DP達成、胸痛…

腋窩リンパ節腫大への対応

ER

(腋窩リンパ節の診察方法)腋窩リンパ節は胸壁の直上の深いところにあるため、患者に少し痛がられるかもしれないが、指を入れて胸壁に沿う形で下方に触知していく。 腋窩リンパ節には前腕および上腕、乳房、胸壁からのリンパ流が集まる。 上腕側に沿ったリ…

COPDに対する去痰薬の使い分けとエビデンス

COPDに対する去痰薬の効果とエビデンスメモ。 咳嗽や喀痰はCOPD患者において早期から出現し、QOLを低下させる原因となる。 COPDでは喫煙習慣や繰り返す感染で、気道粘膜表面の線毛が傷つけられており、線毛運動が障害されると痰を外に出そうとする能力が低下…

(症例)下気道症状+粘膜疹の一例

・26歳男性 ・生来健康 ・主訴:3日間の発熱、乾性咳嗽、非掻痒性の発疹 ・身体所見:左胸部のcrackleを聴取、手掌・足底の黄斑上の標的性皮疹 ・胸部レントゲン:左下肺野の浸潤影 ・その後、3日間の経過で口唇・頬粘膜、結膜、尿道口に重度の粘膜炎が…

胃管挿入で誤嚥性肺炎は防げるか?

胃管挿入で誤嚥性肺炎は防げるか? 経口摂取で誤嚥性肺炎を起こして胃管挿入となることがあるが、胃管挿入でも誤嚥性肺炎は起こってしまう。 ○理由1:多くの栄養剤は液体であるが、粘度の低い液体では十分に胃壁を進展させることができないため胃の蠕動運動…

肥大型心筋症の診断基準と鑑別

肥大型心筋症診断における最も有用な検査は (1)心エコーなどの画像診断による所見である。 (2)高血圧性心疾患などの鑑別すべき疾患との鑑別診断を行うことは必須である。 その他 (3)心筋生検による所見 (4)家族性発生の確認 (5)遺伝子診断が…

失神患者の自動車運転の許可について

失神患者の自動車運転の許可の基準についてメモ書き 不整脈が原因の失神の場合でペースメーカーやICDを植え込んだ場合は指針が出ているが、それ以外の失神(神経調節性失神など)の場合は運転が可能かの判断は主治医に委ねれらている現状がある。2012年の失…

ヘッドアップチルト試験の適応

ヘッドアップチルト試験の適応について ESCガイドライン2009年版での失神に対するヘッドアップチルト試験の適応は 次の通り (classⅠ) ・外傷の受傷あるいは可能性、職業上の配慮が必要な高危険状態における原因不明の単回失神イベント例 ・器質的心疾患を…

僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClipの適応について

MiltraClipはMRの外科手術が困難な患者に対するカテーテル治療として開発された。 2018年から一次性および二次性MRの両方に対して保険適応になった。 ⭕一次性MRに関して 一次性有症候性重症MR患者が対象で行われたランダム化比較化試験では生存率に差はない…

失神精査で行う検査一覧

失神精査で行う検査一覧 ◯心エコー 必ずしも失神患者全例にやる検査ではないが、心雑音聴取や心不全徴候や心電図異常、心疾患既往などあれば絶対に必要。 評価ポイント ・大動脈弁狭窄症(AS):弁口面積や血流速度を評価。致死的疾患で重要。 ・肺高血圧症…