つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

輸液

栄養障害患者に最初から高エネルギーを投与してはいけない理由

◯栄養は少なければ栄養障害、多ければ過剰栄養 栄養投与量は必要量を下回れば栄養障害を招いて筋肉も弱っていってしまうが、必要量を大幅に上回ってしまうと過剰栄養になり脂肪肝になる他、感染症など様々な合併症のリスクが上昇してしまう。 ◯絶食患者に高…

ビーフリードは入院何日目から開始するか

急性期疾患の入院患者で食事摂取量が少なかったり何かしらの原因で絶食状態の患者において輸液をどう選択するか。 経腸栄養が無理で長期間の絶食が確実なのであれば中心静脈栄養が選択されるが、そうでなければまずは末梢静脈ルートでの輸液で様子見ることと…

ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話

ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話 ビーフリードはブドウ糖とアミノ酸が入った末梢静脈栄養製剤であるが、浸透圧が高いため末梢の細い血管に点滴で入れていると静脈炎を起こしてしまうリスクが高い(その結果、発赤や疼痛、感染徴候…

イントラリポス(脂肪製剤)を投与するべき理由

イントラリポス(脂肪製剤)を投与するべき理由 3大栄養素、糖質・アミノ酸・脂質において脂質が最もエネルギー効率がよい。 糖質は1g=4Kcal、アミノ酸も1g=4kCalだが、脂質は1g=9kCalもある。 また、静脈栄養施行時には、非タンパクカロリー…

一日にブドウ糖はどの程度必要か

ブドウ糖に代表される炭水化物はエネルギー投与量の 50 ~ 60%と、総エネルギー 投与量の最も多くを占める栄養素である。 ソルデム3号液などの維持液にもブドウ糖が入っているが、栄養的に十分なわけではなく、水分や電解質をコントロールするため…

慢性心不全における輸液の選択

◯救急外来に慢性心不全の患者が来た場合 慢性心不全の患者が何らかの主訴で救急外来を受診された場合、急性増悪が疑われるようなケースであればとりあえず採血・ルートキープは行うことになる。そして採血結果が判明する前にとりあえず何らかの輸液をオーダ…

維持輸液でカリウム(mEq)はどの程度必要か

維持輸液でカリウム(mEq)はどの程度必要か カリウムの必要量は一般的に20mEq〜40mEq/day (体重あたり0.5mEq/kg/dayと考えておいても良い。) 高度脱水や尿量が少ないような時はカリウムフリーの輸液製剤を選択する。 逆に漫然とカリウムの少ない輸液を続け…

輸液で一日にどれだけのNa(mEq)を入れるべきか

入院患者の維持輸液を決定する際に考えるポイントは4つ 1,水分量 2,ナトリウム 3,カリウム 4、栄養である。 一般的に必要なNa量は最低1mEq/Kg/day、高血圧患者では2mEq/kg/dayを超えないようにする。体重50kgの人であれば一日70mEq〜100mEq程度であ…

高ナトリウム血症の原因と鑑別

高ナトリウム血症の原因と鑑別 ◯高ナトリウム血症とは: 高ナトリウム血症とはNa濃度>145mEq/Lの状態。Na量の相対的あるいは絶対的な増加と自由水欠乏のいずれかによって生じる。通常、血清Na濃度が上昇するとのどが渇いで水分摂取するので自然と血清Na濃度…

入院患者に漫然と維持液を投与してはならない理由

安定した状態の入院患者に漫然とソルデム3Aなどの維持液を投与してはならない。 維持液には飲水が出来ないような患者に現在の体液バランスを維持するために必要な輸液である。が、入院中であれば身体あるいは精神的なストレス負荷がかかり、ADH分泌過剰状態…

生理食塩水大量輸液がしにくい理由

生理食塩水大量輸液がしにくい理由 ◯救急外来ではとりあえず細胞外液が投与されることが多い 救急外来などで点滴をつなぐ場合は、"とりあえず"細胞外液である生理食塩水や酢酸リンゲル液、乳酸リンゲル液が投与されることが多い。これらは細胞外液量が減って…

救急外来でまず何の輸液を選択するか

救急外来でまず何の輸液を選択するか ◯病態もはっきりしないのまま輸液をつなぐことになる救急外来 救急外来では患者の病名も病態もはっきりとしない段階で輸液しなければならないことも少なくない。が、明らかに有害であることを示す所見がない限り、循環血…

ビーフリードを12時間以上かけて投与してはならない理由

ビーフリード®とは 静脈栄養は基本的に中心静脈から管理するのがキホン。が、中心静脈では手技も大変であるし、合併症などのリスクも有るため末梢からそれなりのエネルギーを投与できたらそれに越したことはない。そういう時によく用いられるのはビーフリー…

栄養投与手順memo

栄養投与手順memo 1,水分量の決定 体重×30~40mlが概算量。 最低必要量=尿量(500ml/day)+不感蒸泄(500ml/day)ー代謝水(300ml/day)という計算式もある。不感蒸泄は37度以上の熱があれば1度につき100~150ml/day上昇する。 嘔吐や下痢があればそれらも考…

脂肪不足で脂肪肝になる理由

脂肪肝とは脂肪の摂取過剰で肝細胞に脂肪が蓄積していき生じる病態である。 が、面白いことに?脂肪の摂取不足でも脂肪肝になる。 タンパク質をつくる工場である肝臓では、アポリポタンパク質という脂肪の輸送に関わるタンパク質の産生が行われている。肝臓…

無症候性低Na血症が転倒リスクを増大させるという話

無症候性低Na血症が転倒リスクを増大させるという話 Mild chronic hyponatremia is associated with falls, unsteadiness, and attention deficits. - PubMed - NCBI によると 簡単にまとめ 122人の患者が対象(平均年齢72±13歳) 血中ナトリウム濃度…

血清浸透圧と張度の違い

浸透圧と張度の違い 血清浸透圧の定義:溶液内のすべての溶質濃度を表すものである。 血清浸透圧の予測式 =2×Na(mEq/L)+Glu(mg/dL)/18+BUN(mg/dL)/2.8 血清浸透圧は上の予測式の通り、Na、グルコース、BUN(尿素窒素)の3つで規定されている。浸透圧を規…

SIADHの診断基準とその意義

●SIADHとは SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)とは名前の通り抗利尿ホルモンであるバソプレシンが血漿浸透圧に対して不適切に分泌されることにより水分過剰貯留となってしまう症候群である。希釈性低ナトリウム血症を呈する。 原因は非常に多く覚えら…

急速に低ナトリウム血症の補正をしてはいけない理由

●低ナトリウム血症をどれだけのスピードで補正してよいのか Naが120mEq/Lかつ神経所見あり(頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣など)の場合は緊急で補正を開始する必要がある。急性の低ナトリウム血症は比較的急速に補正しても良いが、慢性の低ナトリウム血症はゆ…

低ナトリウム血症の重症度と補正方法

低ナトリウム血症をみたらまず鑑別するのは大前提として重症度に応じて補正をしていかなければならない。 ●一日にどれだけ補正してよいのか Naが120mEq/Lかつ神経所見あり(頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣など)の場合は緊急で補正を開始する必要がある。急性の…

乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液の違い

乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液の違い 【商品名】 乳酸リンゲル液→ソルラクト®、ラクテック®など 酢酸リンゲル液→ソルアセトF®、ヴィーンF®など 輸液製剤は浸透圧で分類すると等張電解質輸液と低張電解質輸液とに分けられる(下図参照)。等張電解質輸液と…

高血糖で低ナトリウム血症になる理由

高血糖で低ナトリウム血症になる理由 低ナトリウム血症を見たときに、その原因として高血糖の有無は必ず確認しなければならない。高血糖では血糖値が100mg/dl上昇すると血漿ナトリウムは1.6mEq/dl低下し、血糖400以上の著明な高血糖では血糖値が100mg/dl上昇…

ショックへの輸液ではNaを多く、Kを少なくする理由

ショック患者への輸液ではNaを多く、Kを少なくする理由 輸液に入っているナトリウム量が血管内に残る水分量を規定する(Naが多いほど浸透圧も高くなるため水が引っ張られて血管内に残る)。よって血圧が低下している患者にはNaの多い輸液製剤を投与する。 続…

有効循環血液量とは何か

有効循環血液量とは何か 有効循環血液量とは動脈系に存在する血液量のことであり、組織灌流において重要な役割を果たしている。全身の末梢組織に酸素・栄養を運ぶのは動脈であって静脈ではないゆえに動脈の血液量を有効循環血液量と定義している。 有効循環…

Na量とNa濃度の意義の違い

Na量とNa濃度の意義の違い ・体内のNa量は細胞外液量を規定する Naには水を引っ張る力があるのでNaが多ければ細胞外液量も増えるし、Naが少なければ細胞外液量は減る。細胞外液量が増えればいわゆる浮腫の状態、細胞外液量が減れば脱水。つまり、浮腫や脱水…

急性低ナトリウム血症の初期治療

急性低ナトリウム血症への対応 低ナトリウム血症では血漿浸透圧が低下することにより血液中から細胞へ水がシフトし、脳浮腫を引き起こしうる(致死的)。神経症状が出現している場合は速やかに補正を開始する必要がある。 ・脳ヘルニアの危険がある場合 →3…

細胞外液量の評価と低Naの鑑別

低ナトリウム血症へのアプローチ 画像参照:琉球大学 医学部PBL勉強会 低ナトリウム血症を見たらまずは血漿浸透圧で高張性低ナトリウム血症、等張性低ナトリウム血症を除外。浸透圧280mOsm/l以下であれば低張性の本物の低ナトリウム血症。 そして更には水の…

高張性、等張性、低張性低ナトリウムの違い

低ナトリウム血症をみたらまずはその低ナトリウムが高張性なのか等張性なのかはたまた低張性なのか確かめる。なぜなら低張性低ナトリウムでは脳浮腫を起こし非常に危険であるため緊急度・対応方法が違ってくるからである。 まず血漿浸透圧が280mOsm/L以下…

輸液の投与スピードについて(メモ)

輸液の目的は脱水状態や電解質バランスの異常を整えること。 【最初の投与スピード】 まずどのぐらいのスピードで輸液をするべきなのかは患者の重症度で異なってくる。 ・ショック状態の患者:等張液(生理食塩水や乳酸リンゲル)を500〜1000ml/時で投与。 …

1号液(開始液)と3号液(維持液)の違い

1号液(開始液)と3号液(維持液)の違い ●1号液と3号液は生理食塩水とブドウ糖液を混ぜたもの まず大きく分けて生理食塩水と5%ブドウ糖液の2つがある。 生理食塩水はNaが154mEq/L含まれており輸液製剤の中ではNaが最も多い。Naは浸透圧で水を引き寄…