つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

血液ガス

血ガスでアルカレミアでHCO3-もCO2もアルカリの場合の解釈

血ガスでアルカレミアでHCO3-もCO2もアルカリの場合の解釈 例) pH.7.54 PaCO2 35 HCO3-:29.9 Na 140 CL- 99 ph:アルカレミア HCO3-が上昇している点では代謝性アルカローシス、PaCO2が低下している点では呼吸性アルカローシスが考えられる。どちらがメイン…

複数の酸塩基平衡のある血液ガスの解釈

複数の酸塩基平衡のある血液ガスの解釈メモ ◯例1 pH:7.30,PaCO2:23,HCO3-:12.4,Na120,Cl87,乳酸27.mg/dl ・アシデミア ・HCO3-が低下しているので代謝性アシドーシス ・HCO3-が基準より11.6低下しているので、11.6×1.4=16.2程度CO2低下で代償されるは…

酸素投与中のPaO2の解釈

SpO2が悪く酸素投与された状態の患者で血ガスを取ったときの、どのように解釈すればよいのだろうか。10L酸素投与でPaO2:100Torrと2L酸素投与でPaO2:90Torrだとしたらどちらが酸素化は良いと言えるのか。感覚ではなく客観的な指標について説明します。 ◯…

呼吸性アルカローシスの鑑別

呼吸性アルカローシスは換気量が増えてCO2が生理的な範囲を超えて体外に出ていくことで起こる。 呼吸性アルカローシスの原因 1,低酸素血症(PaO2<60Torrなど低酸素血症の状態では呼吸刺激による換気量増加が起こり、血液中の酸素濃度を高めようとする。そ…

嘔吐でアルカローシス、下痢でアシドーシスになる理由

◯嘔吐でアルカローシスになる理由 消化管の細胞では CO2+H2O → H+ + HCO3-という反応が起こっている。 胃ではH+とHCO3-のうち、H+は胃酸として消化管腔内に分泌され、HCO3-は血液中に入る。よって、嘔吐すると、H+だけが体外にでていき、HCO3-は体内に残…

代謝性アルカローシスの鑑別

血液ガスで代謝性アルカローシスの鑑別 主な原因2つ: 1,嘔吐(またはNGチューブ) 2,利尿薬(ループ利尿薬、チアジド) 3,有効循環血漿量の低下(腎臓へ流入する血液が低下するとeGFR低下とNa+再吸収亢進を介して血漿HCO3-が高値であってもHCO3-の尿…

呼吸性アシドーシスの鑑別

呼吸性アシドーシスの鑑別 肺胞低換気によってCO2が上昇することで起こる。 【呼吸性アシドーシスの主な原因】 ・意識障害(中枢神経疾患や薬剤など原因はさまざま) ・気管支喘息,COPDなどの閉塞性肺障害 (気道が狭窄しすぎて空気が肺胞までいかない) ・…

敗血症における乳酸測定の意義

●ショック状態の時、乳酸の上昇が起こる。 末梢循環が保たれなくなると、末梢組織・細胞レベルで低酸素状態になる。酸素がなくなると好気呼吸であるクエン酸回路、電子伝達回路が回らなくなる。すると嫌気的呼吸の解糖系のみでエネルギー産生することになる…

Base Excessとは何か

●Base Excess(BE;ベースエクセス)とは何か ベースとは塩基、エクセスとは過剰の意味。つまりベースエクセスとは塩基がどの程度過剰かを意味する用語である。具体的には「体温37℃ , pCO2が40Torrにある血液をpH7.40に戻すために必要な塩基の量」と定義される…

静脈血液ガスは有用か?

静脈血液ガスは有用か? 患者の呼吸状態や酸塩基平衡を調べる際に動脈血液ガスを測定するのが一般的であるが、動脈ではなく静脈血液ガスでその代用となるのであろうか。 端的に言えば ・pHとHCO3-の評価は静脈血液ガスでも代用可能 ・PCO2は静脈ガスの値と動…

低アルブミンでアニオンギャップ補正する理由

低アルブミン血症ではアニオンギャップを補正する必要がある。 アニオンギャップ= 測定できない陰イオンー測定できない陽イオン≒ Na-(Cl-+HCO3-) dであるがこの「測定されない陰イオン」にはアルブミンも含まれる(アルブミンは血液中で陰イオンとして存…

アニオンギャップを計算する意義

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

PaCO2上昇、肺胞低換気の原因

動脈血液ガスでは大きく分けて呼吸状態と酸塩基平衡の2つがわかる。 ・PaO2,PaCO2で呼吸状態 ・pH、PaCO2、HCO3-で酸塩基平衡 ここではPaO2とPaCO2による呼吸状態の考え方について。 ◎PaCO2(動脈血CO2ガス分圧)の上昇の意味すること CO2は拡散能力が高い…

アシドーシスやアルカローシスの代償の目安・覚え方

代謝性アシドーシスの際、身体はアシドーシスを補正しようと代償性アルカローシスになる。 HCO3-の基準値は22〜26mEq/l(平均24前後) PaCO2の基準値は35〜45mmHg(平均40前後) 代謝性アシドーシスであれば腎臓などに問題があり、アルカリ物質であるHCO3-が…

A-aDO2の基準値は加齢とともに上がるという話

◯AaDO2とは A-aDO2とは肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差のことである。 これらの値は動脈血液ガス分析で測定される。正常なガス交換の場合A-aDO2が0になることが理想であるが、実際は生理的な換気血流不均等やシャントが存在するため、正…

動脈血ガスでpH7.4前後の時の解釈

血液ガスpH7.4前後の時の解釈 血液pH7.35以下であればアシデミア、7.45以上であればアルカレミア。 その間であれば正常値。 動脈血ガスで正常値であれば何も起きていない至って正常な状態であるか、もしくはアシドーシスやアルカローシスがあるが代償されてp…

動脈血液ガスで酸塩基平衡の評価

動脈血ガスの見方 ◯血液ガスで何がわかるのか 血液ガスの項目にはpH,PaCO2,PaO2,HCO3-の4項目がある。 血液ガスを測定する目的は大きく分けて2つである。 1.呼吸に異常がないかみる →PaO2とPaCO2をチェック 2,酸塩基平衡に異常がないかみる →pH、PaCO2…

血液ガスでアルコール中毒の重症度がわかるという話

◯浸透圧ギャップで血液中のアルコールの存在を調べる 意識障害でアルコールが原因とも考えられる時は血液ガスが有用。 「実際の浸透圧」ー「計算上の浸透圧」を算出することで血液中に浸透圧を上昇させる物質(アルコール等)が存在しないかどうか調べること…

糖尿病性ケトアシドーシスでクスマウル呼吸になる機序

糖尿病性ケトアシドーシスでkussmaul呼吸になるのはなぜか。 1型糖尿病では自己免疫的な機序により膵島ベータ細胞が破壊され、インスリンが正常に分泌されなくなる。インスリンがないと細胞は糖を利用することが出来なくなりエネルギー不足に陥る。その代償…

アシデミアとアシドーシスの違い

酸や塩基の負荷に対して、体液中のpHの恒常性を維持できなくなて、生体が不安定な状態にある時をアシドーシス、アルカローシスと呼ぶ。 アシデミア(酸血症)やアルカレミア(アルカリ血症)というのは動脈血を測定した時のpHによって決まり、pH7.4以下なら…

CO2が酸でHCO3-がアルカリである理由

【体液pHが一定に保たれる理由】 細胞が適切に働くには体液を至適pHに保つ必要があるが、体内は代謝によって産生される多量のCO2などの揮発性酸と乳酸、リン酸、ケトン体などの不揮発性酸のために酸性になる傾向にある。 体が酸性に傾きすぎないように酸を排…

A-aDO2開大の原因と計算式

■A-aDO2とは A-aDO2とは肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差のことである。 Dはdifferenceの頭文字、差を意味している。 正常なガス交換の場合A-aDO2が0になることが理想であるが、実際は生理的な換気血流不均等やシャントが存在するため、正…

SaO2とSpO2の違い(+血液ガス表記の読み方)

動脈血中のヘモグロビンのうち、何%が酸素と結びついているかを表したものを動脈血酸素飽和度といいSaO2で表す。このaはarterial(動脈)に由来している。 臨床では簡便で非侵襲的なパルスオキシメーターで測定することが多く、この場合は経皮的酸素飽和度Sp…